2026年10月29日の本日、日本国内で正式発表され、予約受注が約5500台と好調な立ち上がりを見せた新型パジェロ(発売・納車開始は12月17日)。その正式発表に先駆けて、袖ケ浦フォレストレースウェイでプロトタイプ試乗会が開かれた。パリダカでのパジェロの活躍に胸を躍らせ、全盛期の歴代モデルにも数多く試乗してきた辛口自動車ジャーナリスト・国沢光宏氏が、サーキットと簡易悪路で「走りの実力」を最速チェック。フレーム構造とは思えないステアリングフィール、3.2Lから2.4Lへと生まれ変わったクリーンディーゼルターボ、そしてライバルであるランクル300と比べても「遜色なし」という走りと室内の質感。新型パジェロは期待どおりか、それとも従来モデルを超えたのか。ひと足先にリポートしてもらった。
文:国沢光宏/写真:奥隅圭之、三菱自動車
【画像ギャラリー】【新型パジェロ試乗】フレーム車なのにモノコック並み!! 国沢光宏が最速試乗「ランクル300に勝るとも劣らない」!?(13枚)画像ギャラリーなぜサーキット? フレーム車とは思えないハンドリング
三菱自動車の公式Webサイトで新型パジェロのティザーが始まった。アクセスすると概要から価格イメージまでチェック出来る。紹介されている動画はパジェロの既納客&かつてパジェロに憧れを持っていた人に対し「お待たせしました!」的なアピールを強く打ち出している。新規ユーザーも重要だろうけれど、三菱自動車としてはパジェロファンを大切にしたいと考えているようだ。
私も、パジェロ全盛期はたくさん試乗したし記事も書いた。正月明けの大イベントだったパリ・ダカールラリーでの活躍を観ながらワクワクしたことを昨日のことのように思いだす。はたして新型パジェロは期待どおりか? はたまた従来モデルを越えた魅力を持っているだろうか? 正式発表に先駆け、プロトタイプ試乗会が袖ケ浦フォレストレースウェイで行われたので紹介したい。
最初に「(新型パジェロは)クロカン4WDなのに、なぜ(試乗会は)サーキットなのか?」と聞いてみた。いわく「オフロード性能はもちろんですが、最近のクロカン4WDは舗装路のハンドリングや乗り味の要求レベルも高くなっています。そのあたりを評価していただきたく思いました」(三菱自動車開発者)。クロカン4WD=極悪路が得意なモデルである。トライトン導入時も悪路+グラベルコースでした。とりあえず試乗といきましょう。
Dレンジをセレクトしてコースイン! 最初に驚いたのがステアリングフィールである。フレーム構造のクルマといえば、ハンドルからゴムを介してタイヤを動かすような「ラグ」や「ユルさ」を感じる傾向。考えてみたらトライトンに乗った際もフレーム構造と思えないくらいのダイレクト感を実現しており、増岡さん(増岡浩/チーム三菱ラリーアート総監督/三菱自動車開発ドライバー)に「凄いですね!」と伝えたことを思い出す。新型パジェロときたら、それ以上だった。
「モノコックにしました」と説明されたって納得するレベル。なによりクルマの動きが自然である。ハンドルを切ると自然にロールが始まり、安定した姿勢で曲がっていく。後で説明されたのだけれど三菱得意のアクティブヨーコントロールを採用しており、4輪駆動モードを選ぶと、ハンドル切った方向に曲がろうとする制御が入るそうな。ワインディングロードでもスイスイ曲がると思う。
3.2Lから2.4Lへ、新ディーゼルターボ+8速ATの実力は?
タイヤがオールシーズンのため絶対的なコーナリング速度はランエボ並みとはいかないものの、大柄な車体にも関わらずサーキットを元気よく走ってくれます。搭載されるエンジンは先代の3.2Lから新世代の2.4Lディーゼルになった。最高出力こそ14馬力アップの204馬力ながら、最大トルクは10%増の480Nmになった上、トルクバンドも20%ほど広がっている。
大ヒットした2代目パジェロと比べたら静かさとパワー感と排ガスのクリーンさも圧倒。絶対的な動力性能も4気筒ディーゼル車ということを考えれば充分だと思う。ATは8速になっている。サーキットで100km/h巡航を試すと快適至極! アダプティブクルコン使えばロングドライブだって余裕。アクセル全開すると燃焼音かインジェクターの音が聞こえることだけ書いておきましょう。
簡易ながらテストで使われる悪路を試すことも出来た。悪路走破性で一番重要な基本スペックといえばサスペンションストロークである。新型パジェロはトライトンと比べてもストロークを増やした上、悪路でのトラクション性能で有利なコイルスプリング+リジッドサスをリアに採用。タイヤが“離陸”するようなモーグル路での脱出モードを試してみたが、充分と思える性能だった。
数字は公表されないようだけれど、関係者にバックドアで聞いてみたら「ランクルさんが渡河性能700mmと言っているので負けないだけの性能を持たせないと……」(公式発表じゃありません)。あえて冠水路に入ることはすすめないけれど、渡河性能はイザというときに役立つ。このタイプのクルマを買う人の少なからずがサバイバル性能も期待していると思う。
ランクル300に勝るとも劣らない質感、その理由は
新型パジェロでアピールしている質感はどうか? 実は新型パジェロ、トライトンベースと聞いていたため商用車のイメージを残しているんじゃないかと考えていた次第。するとどうよ! ドライビングシートに座った途端「いいね!」。今や定番になった大型液晶を始め、奥行きのあるシート類、フルトリムの質感などランクル300と比べ勝るとも劣らない雰囲気を持たせている。
聞けば「トライトンベースで作ろうとしたのですがこれじゃだめだとか、もっと作り込もう、の連続になってしまい、結果的にフレームの一部を除き、すべて新作になってます」。2024年のバンコクモーターショー時点では東南アジアで販売されていたパジェロスポーツの次期型がパジェロとなるかもしれないと言われていた。開発が始まると妥協できないことだらけになってしまったそうな(笑)。
やはり三菱自動車にとってパジェロは特別なんだろう。フラッグシップという位置づけ。インテリアだけでなくエクステリアも上質。走りだってレベル高い。日本だとランクルという強力なライバルが存在するが、少なくとも舗装路のハンドリングや乗り心地の質感は勝るとも劣らないと思う。クロカン4WDを考えている人はディーラーに試乗車が届くことを楽しみにしておいたらいい。
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