トヨタ WiLL Viが超短命に終わった理由【偉大な生産終了車】

トヨタ WiLL Viが超短命に終わった理由【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ WiLL Vi(2000-2001)をご紹介します。

【画像ギャラリー】WiLLプロジェクト 歴代「VS」「サイファ」とともにトヨタ WiLL Viをギャラリーでチェック!!!

文:伊達軍曹/写真:TOYOTA


■20代から30代をターゲット層としたマーケティングプロジェクトから生まれた「WiLL Vi」

 大手異業種企業の合同プロジェクトを通じて生まれたが、プロジェクトのコンセプト自体がきわめて浅かったため、結局なんだかよくわからないまま発売され、よくわからないまま消えていった小型乗用車。それがトヨタ WiLL Viです。

 トヨタ WiLL Viは、初代ヴィッツの車台をベースに作られたラウンドノッチバックスタイルの4ドアセダン。そしてトヨタ自動車としての「WiLLブランド第1弾」でもありました。

フロントビュー。WiLLブランドとして開発された車両のため、トヨタのエンブレムは入っていない

「WiLL」というのは、1999年8月から2004年7月まで行われた、日本の有名大手企業数社による異業種合同プロジェクト。

 20代から30代を中心とする、当時のマーケティング用語で言う「ニュージェネレーション層」に響く(だろうと推測された)製品を各社が開発し、それに「WiLL」という統一のブランド名とロゴマークを付けて販売する――というのが、WiLLプロジェクトのざっくりとした概要です。

 WiLLプロジェクトにまず参画したのは、トヨタと花王、アサヒビール、松下電器産業(現パナソニック)、近畿日本ツーリストという名だたる5社で、後にコクヨと江崎グリコも参画しました。

 で、トヨタがそのWiLLブランドの第1号製品として2000年1月にリリースしたのが「WiLL Vi」でした。

 その車台は前述のとおり初代ヴィッツがベースで、エンジンも、初代ヴィッツの1.3L版と同じ2NZ-FE型。

 そこに「かぼちゃの馬車」とでも形容すべきニュアンスのボディを被せ、ダイハツ オプティのドアミラーやユーノス ロードスターのサイドウインカーなど、他社製パーツも流用しつつ、「フランスパンをイメージした」というインパネデザインなどを採用したのが、簡単に言えばWiLL Viという車です。

サイドビュー。「『シンデレラ』のカボチャの馬車をモチーフ」としたという部分が一番よくわかる
インパネデザイン

 トヨタ車ではあるのですが、「あくまでWiLLブランドの車である」ということで、トヨタのエンブレムは装着されませんでした。

 またトランスミッションは4速ATですが、フロントベンチシートとの兼ね合いで、いわゆるコラムシフトが採用されています。

 このような形でトヨタの社内カンパニーが企画開発したWiLL Viでしたが、その販売実績は常に計画を下回りました。

 それでもトヨタは、WiLL Viを購入したユーザーの約半数が20〜30代の女性であり、また約8割が「初めてトヨタ車を買った人」だったということで、「当初の目的は達成した」といちおう表明しました。

 ですが結局、発売からわずか2年後の2001年12月には生産終了となり、そのまま販売終了と相成りました。

次ページは : ■デザイン面は画期的なるも……WiLL Viが短命に終わった理由

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