トヨタ WiLL Viが超短命に終わった理由【偉大な生産終了車】

■デザイン面は画期的なるも……WiLL Viが短命に終わった理由

 WiLL Viが、わずか2年弱という短命に終わった理由。それは、基本的には「好き嫌いが分かれるデザインである」「若い女性をターゲットとしているくせに車両感覚がつかみにくい」「ヴィッツより割高である」といったあたりなのでしょう。

 またそれらに加えて「変わったボディ形状のせいで自動洗車機に入れられない場合があった」という欠点も、もしかしたら地味に効いたのかもしれません。

リアビュー。一番下のグレードであれば100万円を切ったヴィッツ(初代)に対し、145万円(2000年式 キャンバストップ仕様車)もの価格をつけたWiLL Vi。その後WiLLプロジェクトのトヨタ車は「VS」「サイファ」と続くが、いずれも価格面が大きなネックとなったことは否めない

 上記に挙げた理由はおそらくどれもが正解かと思いますが、それ以上に、根本的にダメだったのは「WiLLプロジェクトそのもの」でした。

 当時の用語でニュージェネレーション層と呼ばれた20代から30代の人々の新しい感覚に合った、それまでのド昭和なセンスの品々とはちょっと違うプロダクトを作る――という姿勢自体は間違いではなかったと思います。

 またそれにあたって「大手企業が会社の垣根を越えて協働する」というのも、ステキな話ではあるのでしょう。

 しかし実際に立ち上がったWiLLプロジェクトとその成果物(参画した各社がオレンジ色の統一ロゴを付けて発売した商品)は、きわめて空虚なものでしかありませんでした。

 各社のWiLL製品に共通していたのは、例のオレンジ色のロゴマークと、「なんとなく若い人向けである(と大企業の中の人が考えた)デザイン」だけ。

 モノを買おう(自分の人生にそれを取り入れよう)と考える消費者にとっては重要な「その製品に込めた作り手の思い」「メッセージ」「物語」みたいなものは――一部の例外を除き――まったく存在していませんでした。

 いやもしかしたら存在していたのかもしれませんが、ほとんど伝わりませんでした。

 WiLLプロジェクトのオレンジ色のロゴマークはなかなかしゃれたデザインだったと思いますが、消費者というのはロゴマークの良し悪しだけでモノを買うほど愚かではありません。

 文化も理念も特色もまったく違う企業が「とりあえずの共通フォーマット」に無理やり押し込められ、上司の命令により仕方なく開発した商品など、誰も買いはしないのです。

 とはいえ、これはWiLLプロジェクト全体についての話です。参画各社のなかでもトヨタ(の社内カンパニーであるバーチャル・ベンチャー・カンパニー)が企画したWiLL Viや、その後のWiLLサイファなどは――車としての良し悪しは別として――作り手の思いやメッセージみたいなものは確実に伝わってくるプロダクトでした。

 ですのでトヨタは、WiLLなどという無理筋の異業種合同プロジェクトをわざわざ立ち上げず、自社で勝手に「新しい感覚に基づく車」の開発とプロモーションをすれば良かったのに――と思いますが、まぁ後からは何とでも言えるものです。

 そして現在、トヨタは自社で勝手に新しい技術とデザインセンスに基づく素晴らしい車の数々を企画開発し、勝手に頑張っています。

 それでいいのだと思います。

■トヨタ WiLL Vi 主要諸元
・全長×全幅×全高:3760mm×1660mm×1600mm
・ホイールベース:2370mm
・車重:950kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1298cc
・最高出力:88ps/6000rpm
・最大トルク:12.5kgm/4400rpm
・燃費:17.2km/L(10・15モード)
・価格:145万円(2000年式 キャンバストップ仕様車)

【画像ギャラリー】WiLLプロジェクト 歴代「VS」「サイファ」とともにトヨタ WiLL Viをギャラリーでチェック!!!

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