コロナ禍で、1時間に1回の換気が推奨されている。街中を走っているクルマでも、窓を開けて走っているクルマを以前よりも見かける気がする。
そんな増える窓開けの機会だが、子どもがいる家庭では、意外に気を使うことでもある。それは子どもが誤操作をしたり、不意に動いて挟み込まれないかということだ。
JAFのテストでは、パワーウィンドウは大根を軽く切り落とす力があり、成人女性でも片手では押さえることが難しいという検証結果が出ている。楽しいはずドライブで思わぬ事故が起きないように、気を付けたい注意点などを解説していく。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock(bilanol@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】パワーウィンドウ以外にも気を付けたい! クルマで挟み込み事故が起きる部分
■コロナ禍で窓開け機会増 それに伴い増えるリスク
コロナ感染拡大防止の感覚も、この頃は人によって差が感じられるようになってきた。神経質なほどウイルスを気にして行動している人も居れば、マスクをせずスーパーのレジ待ちでも間隔を空けることなく前の客に続いてしまう人も居る。
そして、この猛暑のなかでも窓を開けて走っているクルマは多い。密室状態を避けるためにしている措置であり、安心するのであればそれは個人の自由だから構わない。
窓を開けなくても換気はできることは、ほとんどのドライバーは知っているハズだ。それでも窓を開けて換気しなければ不安なドライバーはそうすればいいが、窓を開けることで今度は別のリスクに晒されることも知っておくべきだろう。それは排気ガスに含まれるPM2.5やその他の汚染物質の微粒子や花粉などが室内に入ってしまうこと。
そしてもうひとつ、パワーウィンドウを開閉することでリスクが生まれる。それは誤操作による挟み込み事故だ。
残念ながらパワーウィンドウによる挟み込み事故は、毎年のように起こっており、子供が指や腕、首などを挟まれて骨折など重症を負うケースが報道されているのだ。
パワーウィンドウという機構は、重いガラスを自在に上下させるだけの力を備えており、ガラスは硬いので窓の開口部に挟み込めば大根やゴボウなどの野菜なら簡単に切断できる。子供の指であれば、切断されてしまう可能性は十分にあるのだ。
●大根もゴボウも切断!! JAFが行ったユーザーテストで「挟み込み事故」の怖さを知ろう
■パワーウィンドウによる挟み込み事故の状況は2種類ある
パワーウィンドウの挟み込み事故は、「ドライバーが操作して他者が挟み込まれる事故」と「子供がイタズラして自らを挟み込ませてしまう事故」の2つに大別できる。運転席にはすべてのパワーウィンドウの開閉スイッチがあり、運転席以外のドアスイッチでは、異なるドアガラスのパワーウィンドウを操作することはないからだ。
そこで挟み込み防止機構など、自動車メーカーもパワーウィンドウの安全対策を進めているが、すべてのパワーウィンドウ装備車に完全な挟み込み防止機構が備わっている訳ではない。
挟み込み防止機構は、ワンタッチでウィンドウが閉まる機能が備わったため、作動後に目を離した際、何かが挟み込まれる事故を防止するために組み込まれたクルマが多い。つまり運転席のドアガラスにしかワンタッチ式パワーウィンドウを装備していないクルマも多く、したがって運転席のドアガラスにしか挟み込み防止機構を備えていない車種も多いのだ。
さらにミドルクラス以上のクルマであれば、すべてのドアガラスのパワーウィンドウに挟み込み防止機構が備わっていることも珍しくないが、この挟み込み防止機構も、スイッチを引き続けていると機能しない車種もあり、危険に気付くのが遅れると挟み込んでしまうことになる。
そのため、ドライバーが走行中に運転席以外のドアガラスのパワーウィンドウを操作した際、気付くのが遅れて後席の子供の手指などを挟み込んでしまうことがある。しかも最悪の場合は挟み込んだ状態で作動させた負荷によってモーターのコイルが焼き切れたり回路がショートする、ヒューズ切れやブレーカーが落ちて、作動不能になって挟み込まれた状態から解消することができなくなる可能性もある。
そうなったらウィンドウガラスを粉砕して救助するのが、最速の方法だ。緊急脱出ハンマーは、このような事態にも役立つので、是非運転席に搭載しておくべきだろう。
コメント
コメントの使い方