「骨の髄までスバリスト」から見る 今回のスバル完成検査問題

「骨の髄までスバリスト」から見る 今回のスバル完成検査問題

 2017年9月に日産自動車の工場で発覚した「無資格者による完成検査」問題。これに伴い、国交省が各メーカーに検査と報告を命じたところ、違反行為が発覚したのがスバル。

 群馬工場にて30年以上にわたり(法令にある「完成検査は、事前に(完成検査員として)登録された者が行う」という規定に反する行為を)実施してきた、として吉永泰之社長が会見を開いた。

 メーカーの責任が重いことはもちろんだが、法令自体の緩やかで曖昧な基準も争点になっているこの問題、純度100%のスバリストはどう受け止め、どう考えているのか? 

 「偏ってもいいので、思い入れたっぷりで語ってみてください」と、スバルを愛してやまないマリオ高野氏に原稿をお願いしました。

文:マリオ高野 写真:SUBARU


■クルマの楽しさを教えてくれたSUBARU

 年がら年中「SUBARU!SUBARU!SUBARU! やっぱりSUBARUがっ!」などと叫びながら、SUBARU車に乗ることを生き甲斐のひとつとしているマリオ高野です。

 そんな私も、ハタチで免許を取るまでクルマにはまったくの無関心。クルマに対しては移動のための乗り物以上の感情を覚えずに生きておりました。興味がないどころか、できれば関わりたくないと思っていたほど。

 しかし、免許取得後に偶然買ったヴィヴィオの痛快すぎる走りによりクルマの面白さに目覚め、目から巨大なウロコがボトリと落ちます。そこから急激に自動車雑誌のマニアとなり、自動車ライターを目指すために仕事を辞めて上京するにいたりました。

 要するに、私の人生はSUBARU車によって大激変したのです。

スバルによって人生が変わり、スバルが人生の一部になったマリオ高野氏
スバルによって人生が変わり、スバルが人生の一部になったマリオ高野氏

 もし、最初に乗ったクルマがヴィヴィオのような運転が楽しいクルマでなかったら、クルマの面白さに目覚めることなく死んだことでしょう。クルマの楽しさがもたらす人生の喜びは枚挙にいとまなし。

 SUBARU車によってクルマの楽しさを知ってからは、「クルマの楽しさを知らずに死なないでよかった!」と思わない日はありません。

 SUBARUに惹かれる理由を端的にいえば「他にない個性や性能」と「モータースポーツで世界の頂点を極めた走り」にあります。

■「いくら好きだからといって不正を見逃すのか」と

 そんなSUBARU好きが高じてスーパーGT BRZ GT300の公式応援団長を務めたりもしている私が、今回の問題(無資格者完成検査問題)について「製品の品質的にはなんら問題なし! だから私は微塵も気にしていない!」などと叫んだところで、正直説得力がないのは承知の上。

「いくらSUBARUが好きだからといって不正を擁護するのは見苦しい」、「ルールはルールだから」などと批判されることも仕方がないところであり、そこに関しては反論の余地はいっさいありません。

 しかし、それでもなお声を大にして言いたいことはふたつあります。

 ひとつは、ほとんどの大手メディア(クルマ雑誌系ではないテレビや新聞など)からは内容の一部だけを切り取ったような、問題の本質をまったく伝えようとしない報道が多かったこと。

 これについては長くなりすぎるのでここでは多くを語りませんが、報道の恐ろしさを実感しました。

 そしてふたつ目は、事件発覚から10日経ち、その間に私なりの取材をした結果、やはりSUBARUのクルマ造りの姿勢や検査方法そのものには問題はなかったのではないか、ということです。

 問題の本質は、手続き上の落ち度によりルール違反になってしまうような落とし穴を作ってしまったことで、そこは痛恨の極みでありました。

 その結果、製品の品質にはなんの問題も出ていないのに「SUBARUブランド」の信頼性が落ち、さらに再検査のためリコールをすることになるという、お客さんにとってもメーカーにとってもまったくもって残念な惨状に陥ってしまったのが無念でなりません。

 今回の数十億円というリコール費用をスーパーGTのレースマシン開発に投入できれば、現状の性能調整の壁を打破できるはずなのに! と地団駄を踏みながら歯ぎしりしております。

スーパーGTでのSUBARUの勇姿
スーパーGTでのSUBARUの勇姿

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