ミニバン販売競争が激化している。2017年7月にトヨタのヴォクシー/ノア/エスクァイアがマイチェンを実施し、9月にはホンダのステップワゴンが同じくマイチェンを敢行。
どちらも商品力を大幅にアップしたものの、販売台数は前年比と比べるとそれほど伸びず、値引きが拡大している。
日産セレナは相変わらず強いものの、先頃の完成検査問題による出荷停止が響いて大幅に登録台数を減らしている。
2017年10月の月販台数はヴォクシーが7670台、ノア4750台、エスクァイア3720台(3台合計だと1万6140台)。ステップワゴンが4347台で、セレナは1351台まで落としている(普段は7300台ペース)。
このミニバン販売競争に、「ステップワゴンのハイブリッド追加」はどのような影響を及ぼすのか?
そして2018年3月に登場する「セレナe-POWER」の影響は? 販売現場に詳しい遠藤徹氏に、実際に生の声を集めてもらった。
文:遠藤徹
■加速と燃費で上回るステップワゴン
2017年7月3日、トヨタのヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟がマイナーチェンジし、9月28日、ステップワゴン・スパーダがビッグマイナーチェンジすると同時に待望のハイブリッドモデルを投入した。
そしてセレナは11月上旬、完成検査態勢の不備で一時停止した出荷を再開。東京モーターショーで発表したとおり、来年3月には「e-POWER」車を投入する。
これまで販売実績ではヴォクシーがトップを走り、次いでセレナ、ノア、ステップワゴン、エスクァイアの順だった。今後はその構図が変わるかも知れない。
ヴォクシー兄弟を脅かすのは1番手がステップワゴン、2番手はセレナであろう。
ステップワゴンはスパーダをビッグマイナーチェンジすると同時に同シリーズにハイブリッド車を設定した。
11月下旬現在、同ハイブリッド車の受注台数はシリーズ全体の半分以上を占めている。従来モデルのガソリン車は成約後の納期が1ヶ月以内だが、ハイブリッドは約2カ月で、現時点で成約しても納車は来年1月下旬まで待たされるほど人気が高い。
10月の月販台数はステップワゴン全体で4737台だが受注の勢いはそれ以上。今後増産し、供給態勢が整えば、(「兄弟まとめて」は難しいだろうが)10月の月販台数が7670台だったヴォクシーを捉える可能性は充分にある。
ステップワゴン・スパーダハイブリッドの(ヴォクシーハイブリッドに対する)強みは、ヴォクシーが1.8L+モーターなのに対してステップワゴンは2L+モーターであるから、加速性など「走りのよさ」を持つ上に、低燃費なところだ。
JC08モード燃費はヴォクシーHVが23.8km/Lに対してステップワゴン・スパーダHVは25.0km/Lとなっている。
ヴォクシーハイブリッドの納期は約1ヶ月でガソリン車と大差はない。ハイブリッド比率は30%程度にとどまっている。
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