累計販売台数は250万台にもなる、ホンダのNシリーズ。最も人気のあるN-BOXはもとより、商用車のN-VAN、ベーシックでスタイリッシュなハイトワゴンのN-WGNと、まさに、四方八方どこにも隙が無いラインアップで、しかも、それらすべてが、需要の高い各軽ジャンル。他社メーカーにとっては脅威でしかないシリーズだ。
このNシリーズのなかでも、クルマ好きの心をくすぐる「異端児」なのが、N-ONEだ。2012年に発売された初代N-ONEは、ハイトワゴンながら全高が低く、レトロで可愛らしい雰囲気で、ファンからは根強い人気があったモデルだ。
N-ONEは、今年2020年1月に開催された東京オートサロン2020で、実質的に今回の新型のプロトタイプであった「N-ONEカフェレーサーコンセプト」を披露しており、その2か月後である3月に生産終了となったものの、次期型の登場が期待されていた。
いよいよ今秋発売となる、新型N-ONE。果たしてどのような活躍ぶりを見せてくれるだろうか。
文:吉川賢一
写真:HONDA、ベストカー編集部
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流行にあえて寄り添わなかった初代N-ONE
次期型N-ONEの未来を占う前に、初代N-ONEを振り返っておこう。
初代N-ONEは、N-BOX、N-BOX+(プラス)に続く、Nシリーズの第3弾として、2012年11月に登場した。軽ハイトワゴンの中では全高が低く、車重も軽いことから、スポーティな性格も持ち合わせており、N-ONEのワンメイクレース「N-ONEオーナーズカップ」が開催されるなど、ファンが多くいるクルマだ。
N-ONEのデザインは、ホンダが1967年に発売していた「N360」がモチーフだ。シンプルながらも、おしゃれな外観はむしろ新鮮で、瞳のような丸いヘッドライト、四角いリアランプ、台形フォルムのスタイルなど、理にかなった、実に綺麗なデザインをしている。
このN-ONEのデザインは、ユーザーにも受け入れられ、発売翌年の2013年は、年間10万台を超える売れ行きとなった。
しかし、Nシリーズの第4弾、軽ハイトワゴンのN-WGNが2014年に登場すると、そのポジションは、N-WGNに一気に奪われしまう。古き良き時代のホンダから影響をうけたN-ONEと、当時流行のムーブやワゴンRに寄せたキラキラフェイスのカッコいい系N-WGN。結果としては、N-WGNを選ぶユーザーの方が多かったのだ。
その後N-ONEは、数年おきのマイナーチェンジで、エクステリアの加飾変更や特別仕様車を出してはみたものの、若い客層の趣味嗜好の変化に、寄り添うことはなかった。
いつ見ても飽きが来ないような完成度の高いデザインであったのだが、しかし逆に言えば、それは新鮮味がない、ということにも繋がりかねず、それが影響したのかも知れない。こうして初代N-ONEは、2020年3月に、ひっそりと生産終了となった。
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