「新車なので売れる」という話は分かりやすい。各自動車メーカーがいたるところで宣伝するし、現場の販売ディーラーも積極的に販促ツールを使って顧客に薦める。目新しさや最新機能もあって、ユーザーにとっても購入しやすいだろう。
しかしそのいっぽうで、新車として発売されてから、かつてのフルモデルチェンジサイクルである4年が経過しても、あるいはその倍である8年が経過しても、引き続き売れまくっているクルマがある。なぜか。
自動車評論家 渡辺陽一郎氏が、息の長い売れ行きを記録する10台をピックアップ、その“長寿”の秘訣に迫る。
さらに流通ジャーナリスト 遠藤徹氏による「販売の現場からの視点」もプラス!
【画像ギャラリー】アルファード プラド アクア… ベストセラーなクルマたち10台をギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年10月のものです
文/渡辺陽一郎、遠藤徹、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年11月26日号
■トヨタ アルファード(2015年1月登場/2020年9月の月販:1万436台)
アルファードが好調に売れる一番の理由は、Lサイズミニバンのニーズに応えたクルマ作り、ということ。現行型はプラットフォームを刷新したから、床を下げて乗降性や走行安定性を向上させることも可能だったが、あえてそれをしていない。
高い床面による見晴らしのよさ、高い天井が生み出す外観の存在感を重視したからだ。内装も上質で、国産ミニバンでは車内がグランエースの次に広い。乗り心地も含め、豪華で快適だから息の長い人気車になっている。
一方、ライバルのオデッセイは床と天井が低い。乗降性と安定性はいいが、外観の存在感、見晴らしのよさ、内装の質で見劣りする。エルグランドも天井が低く、3列目と荷室も狭い。Lサイズミニバンは車種が少ないから、需要がアルファードに集中した。
ふたつめの理由は、トヨタが全店で全車を売る体制に変わったこと。現行モデルの前期型までは、姉妹車のヴェルファイアが多く売れたが、2017年のMC(マイナーチェンジ)でフロントマスクを変えてから順位が逆転した。
そして今年9月の月販はアルファードが1万台を超え、ヴェルファイアの8倍に。今も販売が伸びる“モンスター”だ。
●販売現場からの視点(by遠藤 徹)……もともと人気が高いうえに2017年12月のMCでフロントマスクを押し出しの強い個性的な顔立ちに変更したことで、さらに売れゆきに加速がかかっている。以降、姉妹車のヴェルファイアを大幅に上回る販売推移。今年5月、それまでのトヨペット店専売からトヨタ全系列店扱いに拡大し、販売員も売りやすいようだ。
コメント
コメントの使い方