世界で初めて圧縮着火を実現したガソリンエンジン、「SKYACTIV-X」を搭載した新鋭 マツダ3が登場したのは2019年12月のことだった。
現時点でデビューからまだ1年も経っていないわけだが、早くもこの新世代エンジンがアップデートを果たす。その名も「SKYACTIV-X SPIRIT1.1」。
その改良型は2021年初めの発売予定だが、いち早く進化版SKYACTIV-X搭載のマツダ3に試乗することができた。進化したSKYACTIV-Xをレポートする。「現行型ユーザーへの無償アップデートも検討中」とは!!?
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※本稿は2020年11月のものです。試乗日:10月24日
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年12月10日号
■2021年初頭発売予定! 登場が楽しみなデキ
ぼくはこれまでSKYACTIV-Xにあまり高い評価を与えてこなかった。
ガソリン圧縮着火という内燃機関技術者の“夢”を実現したココロザシの高さには敬意を表するけれど、商品性と価格のバランスに関してはまだまだ発展途上。
SKYACTIV-Xは性能と燃費を高水準で両立させるのが目標だが、その理想を達成できているとは言い難かったからだ。
標準エンジンとの価格差を正当化する“華”が欲しい。販売の現場でもそういう声が上がっていたと思う。
SKYACTIV-Xの進化版に試乗してみて、そんなぼくのフラストレーションはかなりの部分解消された。
最も印象的なのは、実用全域でアクセルレスポンスが向上していること。しかも、単純なトルクアップではなく、ドライバーの要求に応える“精度”の高さに特筆すべきポイントがある。
こんなことを言うと「電動化時代に内燃機関のレスポンスにこだわるのはどうよ」という反論の声が上がりそうだが、モーターの即物的な反応とは明らかに異なる内燃機関特有の息づかいと艶っぽさがこのエンジンにはある。
今回の試乗はマツダ美祢試験場で行われたのだが、全開領域を使うシチュエーションより、一般道をシミュレートしたセクションのほうがはるかに好印象だった。
停止からの発進、減速してまた加速する料金所モード、アクセルで姿勢をコントロールするスラローム。
こういったトランジェント状態のつながりが抜群にスムーズで、ついつい無意味にアクセルのオン/オフを試したくなる。
原理的には内燃機関のレスポンスはどうやっても電気モーターにはかなわないのだが、良質な内燃機関にはそれとは別な魅力が存在するのも厳然たる事実。
ぼくは実用車エンジンのベストは現在メルセデスの直6だと思っているが、SKYACTIV-Xの改良型が目指した方向性はとてもよく似ていると感じた。
●改良前エンジン→改良後エンジン
・最高出力:180ps/6000rpm→190ps/6000rpm
・最大トルク:224Nm/3000rpm→240Nm/4500rpm
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