ひと昔前までは、高級車の装備であった、電動パーキングブレーキ(以下E-PKB)。しかし昨今は日産デイズや三菱eK、ホンダN-WGNといった、軽自動車にも採用されるほどに、E-PKBは急増している。
ここまで、E-PKBが浸透した理由とは何なのか。サイドブレーキの進化や、手引き式、足踏み式の利点も見ながら、E-PKBにある懸念点についても、考えていく。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、HONDA、NISSAN、MAZDA、ベストカーWEB編集部、写真AC
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手引き式から足踏み式、そして電動へ
パーキングブレーキは、1980年代ごろまでは、ステッキタイプ、もしくはレバータイプの、手引き式パーキングブレーキが一般的であった。
この手引き式パーキングブレーキの利点は、構造が簡素でコストが安いことだ。また、腕の力加減で効きの強さを変えることもできるし、神経が敏感な手で操作するのでワイヤーの伸びを検知しやすい、といったことも利点として挙げられる。
ちなみに、手引き式パーキングブレーキは、ブレーキを引いた際に「カチカチッ」と音が鳴るが、この音の回数で引き代が増えたことが分かるため、ワイヤーの伸びの検知機能にもなっていた。検査機やセンサーがない時代に自動車エンジニア達が考えた、賢い装置なのである。
その後、1980年代に入り、AT車が増え始めると、足踏み式パーキングブレーキが登場する。足踏み式が登場した理由としては、手で引くよりも、足で踏んだほうが、より確実にパーキングブレーキを作動できる、ということと、クラッチペダルがあった場所へパーキングブレーキを配置すれば、レバーを無くし、そのスペースを違う装備に充てられる、などだ。
また、90年代に登場し始めた、ファミリータイプのミニバンやMPVタイプのクルマで、1列目から後席へとウォークスルーをする上でも、足踏み式パーキングブレーキにするほうが、都合が良くもあった。
この足踏み式パーキングブレーキは、2000年代中頃まで、乗用車に積極的に採用された。その後2006年に、レクサスLSが電動パーキングブレーキを採用したのを皮切りに、2010年ごろから知名度が上がり始め、2015年頃から徐々に採用車が増えるようになり、現在に至る。
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