もうすぐ死語に!?? 「サイド」から消えつつあるサイドブレーキ 進化の歴史と気になる懸念

利点が多いE-PKBだが、多少の懸念点も

 E-PKBは、操作力が少なくてすむし、ACC(アダプティブクルーズコントロール)との組み合わせで渋滞時の自動停止や追従走行再開も可能だ。また、レイアウトもスイッチ程度のスペースがあればよいのでデザインや利便性に優れているし、自動解除機能があればパーキングブレーキの解除し忘れが防げる、など、利点は多い。  

操作力が少なくてすむし、ACC(アダプティブクルーズコントロール)との組み合わせで渋滞時の自動停止や追従走行再開も可能と、いいところだらけだが、課題もある
操作力が少なくてすむし、ACC(アダプティブクルーズコントロール)との組み合わせで渋滞時の自動停止や追従走行再開も可能と、いいところだらけだが、課題もある

 E-PKBの欠点としては、製造コストが高い、ということが挙げられるが、量販化によりコストダウンが見込めるため、今後はますます普及が進むだろう。欠点の少ないE-PKBだが、しいていうなら、次のような懸念点がある。

●寒冷地では注意が必要
 寒冷地で、手引き式や足踏み式のパーキングブレーキを効かせたまま長時間駐車すると、ブレーキ周りが凍結し、パーキングブレーキが解除できなくなる、という話を聞いたことはないだろうか。実はE-PKBでも似た現象が起こりうる。

 ワイヤー式の場合、ブレーキへとつながるワイヤーの経路途中に付着した水分が冷気で凍ることでワイヤーが動かせなくなることが主な原因だが、そうしたワイヤーがないE-PKBの場合でも、後輪がディスクブレーキのタイプの場合、ブレーキパッド付近に付着した水分が凍ることで、解除が困難になることもある。

 E-PKBの場合、エンジンをストップさせると、自動でパーキングブレーキが作動してしまう車種が多いため、うっかり解除しておくことを忘れ、翌朝クルマを動かせない、というトラブルにつながりやすい。冬の寒さが厳しい寒冷地では、シフトをPに入れた後に、E-PKBを解除しておく必要がある。

 ちなみにAT車であれば、パーキングブレーキを解除していてもPレンジならば、クルマが動いてしまう危険はあまりない。しかし、できるだけ平らな場所に止めること、やむを得ず傾斜のある場所に止める際、輪留めがなければ、万が一クルマが動いてしまったとしても路肩にぶつかるように、ハンドルを切っておくことを忘れないようにしてほしい。

 実際に、オーナーズマニュアルにその旨が書かれているクルマもある。寒冷地にお住まいの方や、スキーなど寒い地域へ行く際は、ご自身のクルマがどういった設定になっているのか、事前に把握するようにしてほしい。

●クルマによって仕様や機能が異なる
 E-PKBは、現時点ではメーカー間で統一された操作方式がなく、押して解除のクルマもあれば、引いて解除のクルマもある、というバラバラな状態だ。多くのE-PKBは、自動でロック/解除をしてくれるのでそれほど問題ではないものの、クルマによって違う、というのは、混乱を招きやすい。

 また、E-PKB搭載車には、信号待ちの停止時に、フットブレーキから足を離しても停車し続ける「ホールド機能」が備わっていることが多い。しかし、すべてのE-PKB搭載車に、同様のホールド機能があるわけではなく、誤解を生みやすい。「ホールド機能があるものだ」と過信をして信頼しきっていると、思わぬ落とし穴にはまる可能性がある。

すべてのE-PKB搭載車に、同様のホールド機能があるわけではなく、誤解を生みやすい。「ホールド機能があるものだ」と過信をして信頼しきっていると、思わぬ落とし穴にはまる可能性がある
すべてのE-PKB搭載車に、同様のホールド機能があるわけではなく、誤解を生みやすい。「ホールド機能があるものだ」と過信をして信頼しきっていると、思わぬ落とし穴にはまる可能性がある

 操作の自由度があるほど、ヒューマンエラーは起きる。動作パターンについては、できるだけ早く、メーカー間で統一してほしい、と考える。

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