経済産業省と国土交通省は昨年3月に、乗用車の2030年度燃費基準を策定したことを発表している。2030年度燃費基準の推定値は25.4km/Lで、2016年度実績値19.2km/L(WLTCモード)と比べると32.4%もの改善が必要な目標となっている。
25.4km/Lというと、トヨタカローラシリーズのハイブリッドモデルやホンダフィットのハイブリッドといった、現行車ではトップレベルの燃費で、これを企業平均で目指すことになる。
そこで気になるのが、これまでは本格的なハイブリッド車の設定をなしに燃費性能を向上させてきた軽自動車だ。
2030年度の新燃費基準をクリアするために軽自動車はどのような進化が必要なのか? そしてこれからの軽自動車のために必要な対策とは?
文/渡辺陽一郎
写真/トヨタ、スズキ、ホンダ、ベストカー編集部
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■2030年度燃費基準は厳しい内容
クルマ関連のニュースで、最近多く取りあげられるのが2030年度の燃費規制だ。燃費基準の達成度を判断するのはCAFE(企業別平均燃費方式)。企業別の平均値で捉えるから、燃費性能の優れた車種を数多く販売すれば、燃料消費量の大きい少数の車種があってもカバーできる。
CAFEはすでに2020年度基準に採用され、各社ともクリアしているが、2030年度基準は燃費基準推定値が25.4km/Lという厳しい内容だ。
2030年度燃費基準は、従来と同じく車両重量と燃費数値のバランスで決まるが、2020年度燃費基準のようなステップは設けていない。
2020年度燃費基準では、車両重量が741~855kgの車種はJC08モード燃費が24.5km/L、856~970kgの車種は23.7km/L、という具合に燃費基準値を定めたが、2030年度燃費基準は曲線的にシームレスに示される。
■段階ごとにあった車重幅はなくなった
従って741kgと855kgの車種を比べた場合、2020年度燃費基準ではクリアすべきJC08モード燃費がどちらも24.5km/Lで等しかったが、2030年度では同じ値にならない。741kgよりも855kgのほうが対応する燃費数値は低下するのだ。
今までのステップ型は不公平が伴った。741kgの車両が24.5km/Lを達成するのは比較的容易だが、855kgでは難しい。その点でシームレスな2030年度燃費基準は、741kgと855kgでは対応する燃費数値が異なるから不公平感も和らぐ。
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