新型ノートが2020年12月23日に発売されてから約4ヵ月が経った。発売1ヵ月を経過した2021年2月1日時点で「月販目標台数の2.5倍にあたる2万44台を受注した」と発表し、幸先のよいスタートを切った。
しかし、2021年1月の販売台数を見ると、7532台で新車販売ランキング6位、2月が7246台で7位。あれ、最大のライバル車であるヤリスが1月1位、1万8516台、2月1位、2万559台と比べると、ノートって売れていないのか……と感じる人が多いのではないだろうか。
そこで、日産ノートはほんとに売れていないのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が真相に迫る。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカーWeb編集部 日産自動車
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■ヤリスハッチバック単体と比べるとノートが売れているのがわかる
最近はコンパクトカーの人気が高い。特に注目される車種が新型ノートだ。2020年11月に発表されたが、納車を伴う「発売」は12月23日であった。したがって、販売が本格化したのは2021年1月以降だ。ノートの2021年1月の登録台数は7532台、2月は7246台であった。
ノートの1ヵ月の販売目標は8000台だから、発売直後から目標を下まわった。しかしその一方で日産は、2月1日に「ノートは2万44台を受注」と報道発表している。これはどういうことか。2021年3月下旬に販売店に問い合わせると、以下のように返答が来た。
「新型ノートは2020年末に受注を開始して、2021年から納車を本格化させたが、この時期にはコロナ禍の影響もあって半導体が不足した。
部品の調達などが滞り、豊富な受注をいただきながら、1月には減産を強いられて納期も長引いた。2021年3月下旬時点では、車両本体の納期は1ヵ月半まで回復したが、オプションのETCユニットやドライブレコーダーに遅れが残っている」。
このように2021年1、2月の登録台数には、減産が影響を与えた。正確な売れ行きは、半導体不足の影響が収まった後で判断する必要がある。
ノートのライバル車には、まず2020年2月に登場したヤリスが挙げられる。新型ノートはハイブリッドのe-POWERのみの設定で、NAエンジンを用意しないから、ヤリスもハイブリッドの売れ行きで比べる必要がある。
この時に面倒なのは、日本自動車販売協会連合会の公表するヤリスの登録台数が、ヤリス+GRヤリス+ヤリスクロスの合計になることだ。ヤリスクロスはコンパクトSUVだから、コンパクトカーのヤリスとは異なる車種だが、車名は共通だから合計されてしまう。
そこでヤリスクロスを除いたヤリスの登録台数を算出して比べる。新型ノートが納車を本格化した2021年1月に、ヤリス(ヤリスクロスを除く)は9166台を登録した。ノートは前述の7532台だから、ヤリスに比べて約1600台少ないが、NAエンジンを用意しないことを考えれば、健闘している。
直近の2021年2月には、ヤリスは9950台を登録した。この内の4410台をハイブリッドが占める。ノートは7246台だからヤリスのガソリン車とハイブリッドを合わせた台数と比較すると約2700台少ないが、ヤリスハイブリッドとの比較であればノートe-POWERのほうが約2800台多いので、大健闘していると言っていい。
ノートのライバル車として、ヤリスと同じ2020年2月に現行型へフルモデルチェンジしたフィットも挙げられる。ノートやヤリスと同じく、全高を立体駐車場が使いやすい高さに抑えたコンパクトカーだ。
フィットは直列4気筒1.3LNAエンジンと、ハイブリッドのe:HEVを用意する。2021年1月の登録台数は5889台、2月は5782台であった。ノートはe-POWERのみの設定で、両月とも7000台を上まわったから、フィットよりも健闘している。
以上のようにノートの売れ行きは、e-POWER専用車としては多いのに、過小評価されやすい。それは先代ノートの売れ行きが好調だったからだ。
2017年には1か月平均で1万1575台を登録して、プリウスに次ぐ小型/普通車の登録台数2位になった。2018年は1か月平均が1万1360台だが、プリウスが下がったので、ノートが小型/普通車の1位になった。先代ノートの登録台数が、2017年と2018年に1ヵ月平均で1万台を超えた背景には、複数の理由があった。
まず先代ノートでは、グレードが豊富だった。e-POWERに加えて、直列3気筒1.2LのNAエンジンと、スーパーチャージャーを装着する仕様を用意した。NAエンジンの価格は、実用装備を充実させて150万~160万円だから求めやすかった。
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