雨の日のドライブの必需品がワイパー。ウインドウにはっ水処理を施している人はあまり使わないかも知れませんが、それでもワイパーは必需品です。
車検時にはワイパーの作動と、ウインドウウォッシャー液の噴射がきちんと行われるかがチェックされ、動作不良があると車検に合格しません。
そんな自動車のワイパー、「フロントウィンドウに付いた雨粒をブレードが往復して拭いとる」という基本構造は、ここ100年間変わっていません。
動力(エンジン)や駆動系が日々進化しているというのに、なぜワイパーは進化しないのか。もうこの先も進化しないのか。それとも気づいてないだけで、実は進化している…のか……??自動車の構造に詳しいジャーナリストに解説していただきました。
文/諸星陽一 写真/Adobe Stock(メイン写真=ville@AdobeStock)、三菱、ホンダ、トヨタ、シトロエン
【画像ギャラリー】珍しい形状をしているワイパーを持った車たちを画像でチェック
■クルマの装備はさまざま進化しているのに..⁉
「ゴムのブレードをガラスに押しつけて表面の水を拭く」というワイパーの基本動作は、1903年にアメリカのメアリー・アンダーソンという女性によって発明され特許が取得されています。
その5年後の1908年にはドイツで手動式のワイパーの特許が取得され、1926年にはドイツのボッシュが電動モーターによるワイパーシステムを開発、発表しました。
その後、さまざまな進化を遂げているワイパーですが、基本動作は約100年変わらないため、「進化していない」と思われがちなのです。
しかし考えてみてください、タイヤだってずっと黒くて丸いままですが、多くの進歩を重ねてきています。クルマに採用されているさまざまな装備は(一見進化していないようで)、確実に進化を遂げているのです。
■ワイパーの歴史
ボッシュが発表している「ワイパーの歴史」を見てみると、意外なことがわかりました。
現在のように曲面フロントガラスに対応できるワイパーブレードが登場したのは1958年とのことです。つまり、それ以前のフロントガラスの多くは平面ガラスであったということになります。
現在のフロントウインドゥは3次曲面ガラスを使用しているので、さらに高いフィッティング性能が必要になります。
究極はレーシングカーで、WEC(FIA世界耐久選手権)用のマシンにもワイパーが取り付けられています。画像を見ればわかるように、かなり強い曲面で構成されたフロントウインドゥに対応するワイパーも存在するのです。
また、「ウインドゥウォッシャー」が登場したのは1959年だと言いますから、この装備も意外と新しいものであることがわかります。
さらにびっくりなのが、リヤウインドゥ用のワイパーです。
ボッシュの資料では「1975年から」となっていますが、日本では1972年に登場した初代シビックがリヤワイパーを装備していましたので、そちらのほうが先ということになります。
どちらにしろ1970年代まではリヤワイパーというものが存在していなかったのは、ちょっと驚きです。
また、多少時代が前後しますが、ボッシュは1972年にヘッドライト用のワイパーブレードを開発しています。世界初のヘッドライトワイパーは1972年に登場したメルセデス・ベンツSクラスだと言われています。
コメント
コメントの使い方私自身余り多くの車を乗った経験は無いのですが、ワイパーの稼働範囲が不十分に思えてなりません。
運転席から見て、右ピラー側の拭き残しや右下の拭き残し、ワイパーの長さと可動範囲をもう少し工夫してくれたら、拭き残し面積が減って雨の日の前方視界が良くなると思います。
新車の試乗レポートでも、ワイパーについてコメントする事は先ずありません。
雨の日には必要不可欠の重要な機構なのですが、チョット残念です。