■『グランツーリスモ』というドライブゲームの最高峰
ベストカーWebをご覧の皆さんなら『グランツーリスモ』という名前を一度くらいは耳にしているはず。そう、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが発売するプレイステーション向けドライビングシミュレーターのことだ。
1997年に登場した第1作以来、リアルな挙動表現と誰もが憧れるクルマの収録にこだわり、いまや日本はもちろん、全世界で圧倒的な支持を集める最強の「カーゲー」だ。
その最新作が、昨年10月に発売された『グランツーリスモSPORT』(プレイステーション4対応)。「スポーツ」を名乗るだけあって、その中身はモータースポーツがひとつの柱となっており、ゲームを通じてFIA(世界自動車連盟)公認の世界選手権へ参加できたり、F1王者ルイス・ハミルトンのオリジナル映像が見られたりと、近年曲がり角に差しかかっているモータースポーツの新たな可能性を探るタイトルとなっている。
こう書くと「なんだ、運転のうまい人向けのマニアックなゲームじゃん」と思われるかもしれないが答えはノー。ドライビングを基本から学べるスクールが用意されていたり、クルマの歴史がたどれるミュージアムが楽しめたりと、あらゆるクルマ好きを満足させるための機能が備わっている。
中でも絶大な人気を誇るのが「リバリーエディター」。これはクルマをペイントしたり、イラストや文字を描いて自分だけのカスタムカーが作れる機能で、完成したクルマは写真に撮ってSNSにアップロードすることができる。いまや世界中に「リバリー職人」と呼ばれるプロ級モデラーがおり、インスタグラムやツィッターは、彼らが作りだした驚異的な作品で賑わっている。
4K、HDR、60fps、ワイドカラーといった最新の映像テクノロジーにも対応している点も『グランツーリスモSPORT』のすごいところ。
その表現力はテレビ放送のクオリティをはるかに凌ぎ、ゲームを放置してデモ映像を眺めているだけでも、美しさにみとれてしまう。3Dにも対応しており、PS VRを用意すれば、本物のドライビングシートに座っているような360度全方位の3D空間で運転が楽しめる。
■「ビジョン グランツーリスモ」とは?
とまあ、楽しいことずくめのグランツーリスモなのだが、最近はゲームとは無縁のクルマ好きにまで話題を提供するようになってきた。それが「ビジョン グランツーリスモ」というプロジェクトだ。
このプロジェクト、もともとはグランツーリスモ誕生15周年を記念した始まったもので、世界中の自動車メーカーが自らの理想とするスポーツカーを作り、グランツーリスモを通じて発表しましょうという試み。これまでにメルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲンを始め、トヨタ、日産、ホンダといった日本車メーカーもこぞって参加し、独自のビジョン グランツーリスモを発表してきた。その数は現時点で全28モデルにのぼる。
いや、これが単なるコンセプトカーのお祭りであれば、注目されることはない。重要なのは、続々と登場するビジョン グランツーリスモが、各社がこれから市販をもくろむ現実のスポーツカーのプロトタイプ的意味合いを帯びていることだ。
そのいい例が、トヨタが2014年に発表した「FT-1 ビジョン グランツーリスモ」。このクルマの詳細は後述するが、今年3月にジュネーブショーで発表されたGRスープラ レーシングコンセプトに驚くほど似ている。
またベストカーWebでも報じた通り、昨年11月に姿を現した「ホンダ スポーツ ビジョン グランツーリスモ」は次期型S2000のスタディという情報があり、こちらもホンダのスポーツカー戦略を占う重要な1台となっている。
バーチャルとリアルの境目が消失しつつある現在、ビジョン グランツーリスモの動向は無視できない。
そこで、これまでに発表されてきたラインナップの中から、注目すべきビジョン グランツーリスモたちを紹介しよう。
※画像 Sony Interactive Entertainment Inc.
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