フランスのルノーが3月12日に、ルノーブランドの新しいロゴマークを発表した。2024年までに、ルノーの全ラインナップにこの新しいロゴマークが装着される予定だという。
そして近年、ブランドロゴを変更した自動車メーカーほかにもある。ここ2年だけでも、2019年にVWが変更してから2020年にはBMWと日産。今年に入ってプジョー、ルノーと、5メーカーものロゴデザインの変更が続いているのだ。
なぜ今、続々と自動車メーカーはロゴのデザインを変えているのか? その理由をモータージャーナリストの御堀直嗣氏が考察する。
文/御堀直嗣
写真/BMW、RENAULT、Volkswagen、Peugeot、NISSAN、VOLVO
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■自動車メーカーのロゴデザインが次々と変わっている!
近年、自動車メーカーのロゴの刷新が相次いでいる。
2015年秋には、BMWのMINIが、ロゴを3次元から2次元にした。またBMWも、昨年3月にロゴを新しく2次元化している。同じくドイツでは、VWがロゴを新しくし、それによってVWのWの下側が縁取りの円に接しない表現となっている。
フランスでは、プジョーの象徴がライオンであることに変わりはないものの、これまでの全体像から顔だけの表現になった。またルノーも今年になって、一筆書きのような表現で菱形のロゴとしている。
国内では、日産が昨年ロゴを新しくした。丸い縁取りの中にNISSANの文字が入る構図は変わらないが、縁取りが左右で切れた図案となっている。
■時代の流れに乗ってブランドロゴを刷新
こうした流れは、時代を反映したものといえそうだ。
ひとつは、デジタル時代への適合だ。映像もデジタルで制作され、視聴者はコンピュータやスマートフォンの画面で新車など見るうえで、平面的な画面でより鮮明にロゴを見せ、気づいてもらうには、これまでの3次元より2次元で最良の構図としたほうが適切だ。
立体的なロゴをデジタルで表現するには、グラデーションなどの処理をしなければならず、デジタル画面ではあまり馴染まない。それより、線でクッキリ表現したほうが明快になる。
一見したところ平板な印象で、簡素になったように感じるが、まもなく見慣れるだろうし、実際、画面で見た時にはすぐその存在に気付くのではないか。
またデジタル画面に合わせ明快な線でロゴを表現することにより、新鮮で若々しく見えるという効果もあるようだ。
一方で、伝統ある自動車メーカーにとっては、高級さとか優雅さの点でやや劣る可能性もある。しかし、スマートフォンでさまざまなアイコンを毎日目にしている人にとっては、当然の表現と感じるだろう。そしてそれが自然な印象でもあるのではないか。
そのうえで商品の中身が充実していることによって、2次元のロゴ表現にもおのずと深みを覚えるようになっていくのではないか。そう思ってもらえるように、商品やサービスがさらに充実し、消費者の信頼を得る内容であることが重要だ。
こうしたデジタル表現にロゴを適応していくことは、この先10年を見据えた市場動向にも影響を及ぼすだろう。
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