ルノーまで一新! 最近ブランドロゴが次々と変わるのはナゼ?

■自動車産業の激変に備えよ

新しいブランドロゴがついたEVコンセプトのルノー5プロトタイプ
新しいブランドロゴがついたEVコンセプトのルノー5プロトタイプ

 私は、10年後には市場が大きく変わると考えている。理由は、いまの20~30代の消費の価値観と、50歳以上の消費に対する価値の持ち方に違いがあり、10年後には20~30代の人々が30~40代となって社会の中核となり、消費者としても、商品を製造し提供する側としても、彼らの価値観で世の中が動いていくと考えるからだ。

 象徴的なのが、スウェーデンのボルボは2030年に電気自動車(EV)メーカーになると宣言し、あわせて新車販売はインターネットで行うとした。インターネット販売はすでに米国のテスラが行い、わずか数年のうちに世界40万台を販売する自動車メーカーとなった。

 既存の自動車メーカーは、販売店での営業をなお重視しているが、EVとなれば車両の保守管理もテスラが行っているようにインターネットで基本的には確認し、必要な部分のみ出張サービスで行うことが可能になる。

 回生を活用した減速により、ブレーキパッドの減りは少なくなるだろうし、そもそもエンジンオイルの交換は不要になる。自動車業界の新車販売と保守管理に変革が起こると考えられる。多くの消費者にとって、販売店との接点はまだ安心材料のひとつかもしれないが、すでにテスラは実績を上げており、ボルボも順次その体制へ準備をはじめていくだろう。

 そうした時、消費者へ自社ブランドを認知してもらううえでインターネットでの表記や表現は重要性を帯びる。その第一歩が、2次元でのロゴの表現であるといえるだろう。

■EVシフトがもたらす恩恵は?

今年秋の発売を予定しているボルボのEV第一弾、C40。オンライン限定で販売される
今年秋の発売を予定しているボルボのEV第一弾、C40。オンライン限定で販売される

 また販売や保守管理の変革は、自動車メーカーにとって利益を生む。つまり、インターネット販売により購入またはリース契約されることで、値引き交渉をせずに済む。定価販売を推進しやすくなる。

 そしてリースが増えれば、所有者が手放した中古車は必ずメーカーに戻ることとなり、EVでは車載のリチウムイオンバッテリーの再利用を推進しやすくなる。

 このことは、消費者にも利益をもたらす。劣化が進みクルマ用としては充分な性能を発揮できなくなったリチウムイオンバッテリーとはいえ、まだ蓄電容量の60~70%は性能を残している。

 製造されたリチウムイオンバッテリーはその後、定置型などの用途として利用価値を残し、EVの使用後に約3分の2の能力を余すことを前提にあらかじめ残価設定を行えば、新車価格の値下げや、月々の支払金額を安く抑えることにつなげられるのである。

 新車情報の提供や新車販売の仕方が大きく転換することへ不安を覚える自動車メーカーや消費者もあるかもしれないが、EVへの転換において、いくつかの自動車メーカーが模索しはじめている取り組みは、新たな価値や利益を消費者とメーカーの双方にもたらす可能性が大きい。

 情報のデジタル化とEVの普及が、その転換を促すのだ。

■メーカーロゴの位置に運転支援機能のセンサーが使われる

日産は2020年7月に新型アリアとともに新しいブランドロゴを発表
日産は2020年7月に新型アリアとともに新しいブランドロゴを発表
日産初の電動クロスオーバーとなる日産アリアは2021年6月ごろに発売予定
日産初の電動クロスオーバーとなる日産アリアは2021年6月ごろに発売予定

 次に、ロゴの2次元化は、クルマの進化においても必要に迫られることであるはずだ。背景にあるのは、自動運転への期待である。

 すでに、運転支援機能の段階で、カメラやレーダーなどのセンサーを数多く搭載する状況となっている。そしてクルマが走るうえでまず必要不可欠なのが前方確認だ。

 そのためには、車体前面の中央部分にカメラなどのセンサーを設置するのが最適であり、フロントグリルを活用すれば、前方の左右に均等な視野を確保できる。

 しかしそこはメーカーロゴの一等地であり、従来の3次元で立体的なロゴでは、その鋳物によってセンサーの機能が制約を受けることになる。2次元のロゴであれば、それは単なる線の表現でしかないため、それを素通ししてセンサーを機能させることもできるだろう。

 すでにフロントグリルは自社ブランドの存在を主張するためロゴの大型化が進んでいるが、それによって運転支援や自動運転の機能が制約を受けることは、競合他社に対し技術で後れを取ることにつながりかねない。

 技術面、また商品性の点においても、先進技術と共存できるロゴが不可欠となる。それを見越した自動車メーカーが、先んじて2次元化によるロゴの刷新を行っているといえるだろう。

次ページは : ■本格的に動き始めた21世紀のクルマ社会の象徴!

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