マツダ3を街で見かけると思わず目で追ってしまいます。発売は2019年5月ですから、デビューして2年が経ちますが、いまだにかっこよさが色褪せません。
思い返してみると、2017年の東京モーターショーでマツダ3の始まりは、原型となるマツダ魁(KAI)コンセプトが発表されたことでした。魂動デザインがフェーズ2へと進化したデザインとしても注目を集めたのですが、さらに驚くことに、そのコンセプトカーがほぼそのままマツダ3となって登場したのです。
量産化に向けてラインや面構成にいっさい妥協することなく作り込んだ結果のかっこよさということなのでしょう。いまだ色褪せないカッコよさというのはこの辺にあるのでしょう。
個人的にもとても好きなクルマの一台で、魅力的な内容を持ったクルマでもあると思います。ただ、販売台数(2021年4月535台、5月967台)を見るとあまり好調とは言えません。
そんなマツダ3の実力を改めて評価するとともに、イマイチ販売に結びつかない理由についても考察してみたいと思います。
文/斎藤 聡
写真/MAZDA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】マツダ3はカッコいい!でも売れない理由を写真を通して再検証!!
■デザインとスカイアクティブ-Xエンジンが魅力!
マツダ3の魅力として挙げられるのは、やはりそのデザインでしょう。冒頭にも書いたようにコンセプトカーそのままといえるくらい攻めたデザインで登場したことにあると思います。しかも、走らせてみるとこれがまたとてもよくできています。
エンジンを取り上げてみても、1.5Lと2Lのガソリンエンジン、1.8Lディーゼルターボ、それにPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用したスカイアクティブ-X が用意されています。
1.5Lと2Lはともに圧縮比が13対1という高圧縮比エンジンで、パワーこそ1.5L=111ps/146Nm、2L=156ps/199Nmと、突出した数値ではありませんが、高圧縮比エンジンならではのビート感とか、高回転まで回した時にパワーが伸びあがっていく感覚が気持ちよいエンジンになりました。
1.8Lディーゼルターボは、圧縮比14.0対1のロープレッシャーディーゼルで、130ps/270Nmを発揮するクリーンディーゼルです。低圧縮比の効果でエンジンが軽々と吹き上がります。
2020年11月のマイナーチェンジで116ps/270Nmからパワーアップしたことで、高回転の伸びが気持ちよくなっており、加えて低中回転域のトルクに厚みが出て全体に力感が増しました。
スカイアクティブ-Xは2L+スーパーチャージャー+マイルドハイブリッドで構成する超希薄燃焼エンジンです。ガソリンエンジンを高圧縮比にすることでディーゼルエンジンのように圧縮着火させるエンジンなんです。
このエンジンを量産化するためにスパークプラグによって爆発のきっかけを作ってやることで、安定した圧縮着火を可能にしました。一見、普通のエンジンの火花着火と変わらないように見えますが、燃焼速度がまったく異なります。
新しい燃焼技術を実現したことでガソリンエンジンの未来に可能性を広げたエンジンなのです。
パワースペックはデビュー当初180ps/224Nmでしたが、マイナーチェンジで190ps/240Nmにパワーアップしました。
同じ2020年11月に道路交通法と道路運送車両法が改正され、ソフトウエアの更新による車両のアップデートが可能になりました。これを受けてマツダは、すでに販売しているマツダ3とCX-30のレーンキープアシストとレーダークルーズコントロールの制御を無償アップデート。
スカイアクティブ-Xエンジン搭載車については、AT制御プログラムとエンジンのパワーアップ(190ps/240Nm)も無償アップデートできることになりました。このパワーアップによって、パワー感が増したのはもちろん、トルク感がくっきりと浮かび上がって、エンジンの存在感が増しました。
操縦性については、先代モデルとなるアクセラのリアマルチリンクサスペンション(独立式)から、マツダ3ではリジッドのトーションビームサスペンションへと変更されています。「グレードダウン?」 と思われましたが、いざ試乗してみると精度感の高い操縦性は、先代モデル以上に仕上がっていました。
不評だった硬めの乗り心地も先のマイナーチェンジで改善され、ぐっとマイルドで心地よいものになりました。
このサスペンションにはGベクタリングコントロール(GVC)という制御が組み込まれており、カーブやレーンチェンジでクルマを滑らかに走らせてくれるようプログラムされています。これもマツダ3の心地よい走りの重要なポイントといえます。
4WDにはさらに進化したGVCプラスがプログラムされていて、新たにブレーキによる姿勢制御ができるようになりました。
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