車は「買ったら終わり」という商品じゃない。
毎年、さまざまな新車が登場するし、最新のモデルには当然の如く最新の技術や装備が付く。相対的に見れば、古いものより最新の車が優れていることは言うまでもない。
ただ、ユーザーにとって車は何年も乗り続けるもの。今では10年以上1台の車に乗り続けるケースも珍しくなくなっている。
そこで、今買える「長く乗っても飽きのこない車」を考えてゆきたい。まずは、様々な価値観があるなかで、本稿におけるその条件を定義しつつ、片岡英明、渡辺陽一郎両評論家があげた現行国産車のなかから6台の具体例を紹介したい。
文:片岡英明、渡辺陽一郎
写真:編集部
ベストカー 2019年12月10日号
長く乗り続けられる車の条件は?
■片岡英明氏が考える条件は「トレンドに左右されないこと」
ひとつは流行に左右されないコンサバな飽きのこないデザインであること。
ラギッド感の強いデザインのSUVや3ボックスデザインのセダンは、トレンドに左右されず色褪せないから長く乗れる。これはインテリアにもいえることだ。ナビなどはこれから先、大きく変わってくる。買う前に陳腐化しない必要装備を見極めることも必要だろう。
最近は運転支援システムや衝突安全などに新しいメカニズムが採用されているから、その時代の最新の安全性能を有していることも大切。先進安全装備は日々進化しているが、買った時に最高レベルの安全装備が付いていれば10年後でも不安はないはずだ。
その逆に、オフロードを活躍の場とするジムニーなどのクロスカントリー4WDは、モデルチェンジのサイクルが長いからいい気分で長く乗ることができる。安全装備や快適装備も、ある程度は割り切れるだろう。補修パーツ確保の心配も少なくてすむ。
操る楽しさのあるマニュアル車を選べることも強みになる。運転が楽しければ、長く付き合うことが可能だ。
■渡辺陽一郎氏が考える条件は「開発コンセプトやデザインの普遍性」
1989年頃の記憶を辿ると、そこから30年前(つまり1959年頃)に発売されたブルーバードやセドリックの初代モデルは、すでにクラシックカーだった。ならば現時点ではどうか。
30年前の1989年に発売されたR32型スカイラインなど、クラシックカーとは呼ばない。最近のクルマはデザインや動力性能の進化が安定期に入り、耐久性も高まったから、先進の安全装備や通信機能を求めなければ長く使える。
そして長く使える新型車には、開発コンセプトやデザインの普遍性が大切だ。流行を追うと飽きやすいが、普遍的なら時代遅れにならない。例えば視界を追求したボディは、工業デザインとして成熟しているから古さを感じにくい。
普遍性を伴い、なおかつ趣味性の強いスポーツカーなども同様だ。例えばロードスターは歴代モデルにファンがいて、長く使われている実績がある。
隠れた趣味性を備えるクルマもあり、スイフトは一見すると実用重視のコンパクトカーだが、運転すると車両との一体感を味わえて楽しい。このような車種も長く使える。
長く乗れるオススメSUVは?
■トヨタ RAV4(分析&文:渡辺陽一郎)
RAV4の飽きずに長く使える一番の理由は、悪路指向の開発コンセプトとデザインだ。
悪路指向は、SUVが昔から備えてきた価値観で普遍性を伴うから時代の変化に影響されにくい。悪路指向のデザインも同様で、今後も大幅に流れが変わることはない。このあたりは同じSUVでもC-HRと大きく異なる。
また2019年に入って登場した新型車だから、ハイブリッドや4WDなどのメカニズムも新しい。従って時間が経過しても、古さを感じにくい。
■スバル フォレスター(分析&文:片岡英明)
フォレスターはクロスオーバーSUVの先駆車で、現行型フォレスターは新世代プラットフォームを採用する。
また、自慢のターボを整理し、2.5Lエンジンとハイブリッドの「e-BOXER」とした。4WDは実力派で、運転支援システムのアイサイトも最新だ。
デザインはコンサバだが、逆の視点で見れば長く付き合える。
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