【「地獄」を終わらせて選択と集中!!】マツダ流「ワンプライス販売」の功罪


 かつてマツダ車は大幅値引きの代名詞ともなっていた。過去形で表現したのは、現在マツダ車の値引き額が非常に減額されているからだ。

 マツダ車はマツダ車のブランド価値を上げるために、『ブランド価値戦略』を展開中で、ワンプライス販売の実践も重要な手段として展開しているが、値引き販売が基本の日本で認知されているのだろうか?

 マツダはスカイアクティブ技術の投入で息を吹き返したものの、販売台数自体はスカイアクティブ投入以前のレベルにまで到達していない。

 マツダのワンプライス販売の功罪について渡辺陽一郎氏が考察する。

文:渡辺陽一郎/写真:MAZDA、LEXUS、平野学、奥隅圭之、ベストカー編集部

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マツダが値引き額を抑えるのは価値を下げないため

「最近のマツダ車は値引きが少ない」といわれる。2012年に発売された先代CX-5以降のマツダ車は、魂動デザインとスカイアクティブ技術に基づいて開発され、値引きを抑えるようになった。この点をマツダの販売店に尋ねると、以下のような返答であった。

2012年にフルスカイアクティブテクノロジーを搭載した第1弾としてCX-5がデビュー。マツダにとって大きな転機となった

「2012年のCX-5、マツダ6(旧アテンザ)以降、値引きを抑えている。2018年頃まで販売していたプレマシーとビアンテは大幅値引きで売りながら、魂動デザインとスカイアクティブ技術のCX-5などは値引きを少額にしていた。それでも値引き額がゼロではなく、商談には応じている。状況に応じて下取り車の買取額も高める。特にマツダ車は他メーカー車よりも好条件で下取りするが、以前のような車両価格の10%を大幅に超える40万円レベルの値引きは控えている」という。

CX-5のデビュー以降、ブランド価値戦略の一環としてワンプライス販売を実践しているマツダにとって、大幅値引きの最後の車種の1第がビアンテ

 レクサスのような「値引きはできない」売り方ではないが、以前に比べると金額が大幅に減った。なぜ値引き額を抑えるのか。

「リセールバリュー(中古車として再販売する時の価値)を高めて、お客様が愛車を高値で売却可能にするためだ。大幅値引きの時代は、リセールバリューと併せて売却額も低く、相応の金額で買い取るのはマツダの販売店だけだった。そのために一度マツダ車に乗ると、その後もマツダ車を買い続ける必要が生じた。これはお客様の資産価値を下げてブランドイメージも悪化させるから、魂動デザインとスカイアクティブ技術のマツダ車では、愛車の価値を下げないように値引き額を抑えている」と説明した。

大幅値引き=マツダのイメージそのまま、決算期などでは50万円超の大幅値引きをしていて話題になったMPV。それも今では懐かしい

値引きを抑えて価格を安くした!?

 そのほかの理由はどうか。

「魂動デザインとスカイアクティブ技術のマツダ車では、多額の値引きをしたくても、できない事情がある。以前は価格の割に卸値が安く、販売会社の受け取る1台当たりの粗利を多めに含んでいた。だから粗利から捻出する値引き額も増やせたが今は違う。価格の割に卸値が高く設定され、1台当たりの粗利は少ないため、以前と同じ値引きで売ったら損失に繋がる。従って多額の値引きはできない」と指摘した。

マツダの第7商品群のトップバッターとして市場投入されたのがマツダ3。そのエクステリアの美しさ、それを実現する製造技術は高く評価されている

 魂動デザインのマツダ車はカッコよく、価格も高まったから儲かりそうだが、実際はそうでもないわけだ。

「CX-5やCX-30など、今のマツダ車の質感や装備内容で多額の値引きを可能にするには、もっと価格を高める必要がある。表現を変えると、今のマツダ車は値引き抑える代わりに価格を安くした」と続けた。

 同じようなことは、他メーカーにも当てはまる。価格が200万~300万円のクルマは、以前に比べると値引きが全般的に減った。

2020年2月の段階でマツダ車で最も売れているのが2019年10月にブランニューデビューしたCX-30。人気がいつまで継続するかに注目だ

 その理由をセールスマンに尋ねると、「安全装備や環境性能の向上でクルマのコストが高まった割に、ライバル車との競争が激しいから値上げは難しい。そうなると1台当たりの粗利が減り、今は以前と違ってメーカーが支出する販売奨励金もほとんど支給されないから、必然的に値引き額が減ってしまう。ただし軽自動車やコンパクトカーは、もともと粗利を抑えて値引きも少額だった。装備をさらに充実させて価格を据え置いたら、コストアップを吸収できない。従って軽自動車やコンパクトカーは、以前に比べると価格が値上げされている」と返答した。

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