新型ランドクルーザー300が発表されたが、気になるのはやはり盗難されるのではないかということ。実際、2019年、2020年のランドクルーザーの盗難件数は、654台、395台と減少してはいるものの、依然として高い水準を維持している。
そうした事情もあったのか、新型ランドクルーザーには指紋認証によるセキュリティシステムが採用される見込み。まだ詳細は明らかになっていないが、エンジン・スタート・ストップスイッチの部分に指をあてて、指紋認証を行う仕組みになっている。
はたして、この指紋認証によるセキュリティシステムは効果があるのか、徹底解説する。
文/加藤久美子
写真/トヨタ、日本損害保険協会、自動車盗難情報局
【画像ギャラリー】2021年6月10日世界初公開!! ついに新型ランドクルーザーがベールを脱いだ!!
■ランドクルーザーはどれくらい盗まれているのか
以前、レクサスLXの異常なまでの盗まれ方(2020年は1000台中約50台が盗難されている)についてベストカーwebに記事を書いたが、ランドクルーザーの盗難台数も非常に多い。
【要注意!!】1000台中50台が盗難に!?? レクサスLXはなぜこんなに盗まれるのか?
2020年はコロナ禍によって例年とは様相が異なるが、2019年、2020年のトップ5は以下となっている。(自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム調べ)
■自動車盗難台数 2019年→2020年
プリウス 793台→517台
ランドクルーザー 654台→395台
レクサスLS 272台→218台
クラウン 247台→202台
レクサス LX 178台→286台
2020年はコロナ禍によってアメリカを除くほとんどの地域に向かうコンテナ船が一定期間停まっていたこともあり、盗難台数が減ったという実情もある。後述するが、日本における自動車盗難のほとんどは「海外需要」と考えられるからだ。
なお、自動車盗難台数のランキングとして良く使われる資料に日本損害保険協会が毎年行う自動車盗難事故実態調査結果の中の「車名別盗難状況」がある。こちらでも例年、ランドクルーザーがトップ集団にいる。
しかし注意しなくてはいけないのは、こちら盗難されたすべての車両について反映されているわけではないということ。
ここでカウントされている台数は「盗難届が受理され、保険会社も盗難と認めて、契約者に車両保険を支払った台数」である。
車両保険に加入していない場合や一度盗まれたが、発見されて保険金請求には至らなかった場合などは含まれていない。車両保険を契約して盗難届が受理されて、盗難として車両代が支払われた件数である。
なお、任意保険加入車両は全体の約7割。そのうち車両保険を付けている割合は約半数だ。通販型自動車保険を中心に、保険会社によっては一定車齢以上のクルマは車両保険の契約を認めない場合もある。
レクサスやランドクルーザーなどの高額車両なら車両保険を付けている人が多いと推察されるので、必然的にランキング上位に出て来ることも多くなると言えそうだ。
なお近年は車両保険を契約していて盗難に遭っても保険会社が盗難と認めず、保険金が支払われないケースも増えている。
警察庁に(保険の支払いに関係なく)「車名別盗難認知件数のデータはありますか?」と尋ねたところ、「そのようなデータはありません。」というので「なぜですか?」と理由を聞いたら「統計をとっていないからです」との(毎度おなじみの)つれない回答だった。
コメント
コメントの使い方