東京都消防庁がまとめた「熱中症の発生場所(平成25年6〜9月)」によると、熱中症で搬送された場所のなかで最も多いのは「住宅等居住場所」で40.8%ですが、2番めは「道路・交通施設」で24.4%となります(3番目は「公園・遊園地・運動場等」8.6%)。これは「道路を歩いていて」だとか「駅で」なども含まれますが、「自家用車の中で熱中症になった」というケースも多々含まれています。
「クルマの中」は、熱中症スポットなのです。
実験によると車内温度は50℃を超えることはザラで、ダッシュボードの上などは80℃を超える車内。賢くエアコンを使いこなさないと命の危険があります。
ぜひとも当企画で最低限の知識を身に着けておきましょう。
文:ベストカーWeb編集部
■とにかく「熱い空気」を追い出すこと
皆さんご存じのように、カーエアコンには「外気導入」と「内気循環」というふたつのモードがあります。このモード、クルマ好きならたいてい「使い分け方」を知っているのですが、クルマに詳しくない方は意外とご存じないケースが多いようです。
そこで、いまさらではありますが確認の意味を込めて、「これさえ知っておけばOK」というカーエアコンの使い方をお知らせします。
まず大前提としておさえておきたいのは、エアコン(クーラー)の性能は、「取り込む空気の温度」によって大きく変わる、という知識です。
取り込む空気の温度が高ければ高いほど低い空気を作り出すことが難しくなり、逆に低ければ低いほど簡単に冷たい空気を作り出すことができる(これと同じ理屈で、家庭用エアコンもベランダに置いてある室外機を直射日光の当たらない場所に置いたり、日除けを作るだけで、室内を冷やす性能は格段に上がる)。
これをカーエアコンに当てはめると、どうなるか。
車内の温度が外気温より高ければ「外気導入」、車内より外気温のほうが高ければ「内気循環」にする。これで、より効率的かつ迅速に車内の温度を下げられます。
以下、具体的に説明します。
夏場、駐車した車内温度は軽く50℃を超えます(本記事後半参照)。なので、この時期に駐車車両へ乗り込んでエンジンをかけたら、まずするのは「外気導入」(外気のほうが比較的冷たいので)。さらに急速に温度を下げたい場合は、ウィンドウを全開にして走り出し、内気をすべて入れ替える。
そうしてだんだん車内の温度が下がってきて、車内温度が外気より下がったなと思ったら「内気循環」に切り替える。
これが最も効率的にカーエアコンを使う方法となります。
「車内温度>外気温」の場合は「外気導入」、「車内温度<外気温」の場合は「内気循環」。本記事をお読みの方は、これだけ覚えておいてください。
なお、ちなみにたとえば「フロントウィンドウが曇ってきた」という場合は、デフロスター(フロントウィンドウのすぐ下にある空気の吹き出し口)をオンにして、外気導入に切り替えましょう。車内の湿度を下げることで、より早く曇りが取れます。
■夏場の車内は灼熱地獄
また、夏場の車内温度上昇の恐ろしさ、すさまじさについては、『ベストカー』での実験を紹介しておきます。
取材したのは気象庁発表による最高気温が37.3℃だった2016年7月8日の熊谷市。この日の午前10時30分から午後0時30分という、一日でも気温の上がる2時間でクルマ各部の温度を測定しました。
テスト車は黒いボディの三菱ギャランフォルティス。さっそく駐車してエンジンを停止、窓を閉めてしばらく観察していると……。
車内温度は上記表のとおり、ぐんぐん温度が上がって黒いフォルティスのシート近辺の気温はなんと70℃。まさに灼熱地獄!!!!
さらに車内外の各所の温度を測ったところ、驚くことに黒いボディのフォルティスのボンネットは82.6℃、ダッシュボードは86.7℃まで上昇! ちょっと触っただけで、火傷しそうな熱さでした。
さらに人が触れる部分は? というと、ハンドルが83.2℃、合皮のシートは78.4℃といずれもかなりの高温。これ、熱中症対策はもちろん重要ですが、火傷にも注意したいところです(なので子供を車内に置き去りにするのは絶対厳禁!!)。
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