本誌『ベストカー』にて、毎号テック系の最新情報や気になる話題をお届けしている「近未来新聞」。
今回は中国とアメリカの間で揺れるテスラ、VWが全固体電池生産に前身? 東武鉄道が電車の自動運転の検証を開始…などなど、テック系の最新ニュースをお届け!
※本稿は2021年6月のものです
文/ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年7月10日号『近未来新聞』より
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■米中の間で悩むテスラ 中国で相次ぐイザコザ
中国での販売が絶好調のテスラだが、足元では喜んでばかりもいられない事態が発生している。
たとえば中国人民解放軍の動きだ。同軍はテスラの走行データが国外に持ち出されているとして、一部の軍人にテスラ車の使用を禁ずる通達を出した。
そして多くのメディアも報じた4月の上海モーターショー。テスラのブレーキが効かないと訴える女性が、テスラの展示車両の屋根に上がって取り押さえられたのだが、これに対して出された中国規制当局のコメントが、女性を擁護するような内容だったことも世間の関心を惹いた。
さらには5月11日。ロイター通信が、テスラの上海工場の拡張計画が中止になったと報じた。
テスラ上海工場は、中国政府が初めて認めた外資単独出資の自動車工場として有名だが、その生産規模は本拠地の米フリーモント工場に次ぐレベルにまで急拡大していた。
それだけに今回の拡張中止は意外だが、テスラ自身が中国の報復関税などに不安を感じ、投資を見送ったようだ。
相次ぐテスラへの逆風のニュースだが、その始まりが、3月18・19日にアラスカのアンカレッジで行われた米中外交トップによる会談とほぼ同じである点は注目だ。
両国の激しいやりとりは読者もテレビなどでご覧になったと思うが、以来、アメリカ製品のシンボルでもあるテスラが、中国国内で恰好のターゲットになってしまっていると分析する専門家は多い。
今年1~3月の中国でのテスラ車の売り上げは6万9000台に達し、前年同期比3.7倍を記録した。テスラとしてはこの好調ぶりを死守したいはずだが、米中のデカップリングが雪解けの方向に動かない限り、不測の事態は今後もありうる。
上海製のモデル3を輸入している日本も、今後を注視せねば。
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