「先代CクラスはC180が一番」 「MINIはONEに限る」 「BMW3シリーズは318iがベストチョイス」――。クルマの試乗レビューなどで、よく見かける「ベースグレード最強説」。
しかし、「走りの装備が満載されているほうがいいのでは?」と思う方もいるだろう。しかし、「走り=操縦安定性や乗り心地、音振性能を含めた動性能」という面だけを考えれば、決してそうとはいえない。その理由は大きく2つある。
文/吉川賢一、写真/BMW、Mercedes-Benz、Audi、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】こんな意外なメリットが!? ベースグレードを見ずして輸入車を語ることなかれ!!
■理由その1:ベースグレードは、タイヤ入力が小さい
ひとつめは、ベースグレードほど「タイヤからの入力が小さい」ということだ。昨今の上級グレードには、大径タイヤ&ホイールが装着されることが嗜みにもなっている。
18インチ、19インチ、20インチと、大径タイヤ&ホイールになるほど、見栄えは立派になるのだが、その反面、乗り心地(突起乗り越し時の突き上げ)の悪化やロードノイズの増加などの快適性に大きなトレードオフが発生し、さらには、燃費の悪化、交換時の費用増加など、よくない影響が多く出てくる。
このトレードオフを解消するため、上級グレードには電制デバイス(電制ショックやエアサス)が追加されたり、ホイール内部に吸音スポンジを貼る、車体へ多めに遮音材を投入するなど、対策のためのコストを多くかけて成立させている。
19インチ、20インチを当たり前に装着する高級セダンでは、少なくとも電制ショックアブソーバーは標準装備となっているのはそのためだ。
もしタイヤを16インチ程度で設定できれば、余計なデバイスを付けなくとも、静かで乗り心地の良い、快適な動性能になる。
もちろん上級グレードであるほどに販売価格が上がり、自動車メーカーの利益は大きくなるため、ビジネス的には美味しいのだが、開発を担当するエンジニアにとっては、大径タイヤ&ホイールは大きな悩みでもある。そのくらい大径かつ低扁平のタイヤ&ホイールは、悪影響があるのだ。
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