■理由その2:ベースグレードは「軽いパワートレインに、強い車体」
ふたつめの理由は、ベースグレードのほうが「動性能に有利な条件で設計される」ということだ。同一車種の場合、全グレード(メルセデスだとC180からC350といったラインアップのこと。拡幅されているAMGは除く)で、車体は同一構造のものを採用するのが一般的だ。
その際、最も重たいグレード(≒上級グレード)を基準にして、衝突性能、耐久性能などが設計される。
例えば、欧州車メーカーが得意とするディーゼルターボや、いま力を入れているプラグインハイブリッドの場合、ベースグレードとの車重差は、前者が約80kg、後者が約290kgにもなる(※E200とE220d、E350eを比較した数字)。
この場合、最も不利な条件になるプラグインハイブリッド車の重量を元に、車体を作り込む場合が多い。
つまり、比較的パワートレインが軽いベースグレードであるほど、車体剛性は良い意味でオーバースペックとなる。軽いパワートレインに、強い車体が組み合わされることで、ベースグレードは非常に優れた動性能となっているのだ。
上記の、「タイヤ入力の小ささ」、「軽いパワートレインに強靭な車体」、このふたつが揃っているのがベースグレードなのだ。多くの自動車ジャーナリストが、「ベースグレードが良い」という理由は、そのクルマの「素」を味わえることが、最大の理由だと考えられる。
■先進運転支援搭載のベースグレードがベストチョイス!!
パワーの大きなエンジンや、最先端のプラグインハイブリッドシステムを積み、太めのタイヤを履いて派手なエアロパーツを付けたAMGラインやMスポーツといった上級グレードが魅力的に映るのは、ある意味当然だ。(筆者もむしろ好き)。
欧州では、日本では販売されていない廉価なモデルが用意されている。例えば、16インチタイヤを装着したアウディA4のベースグレードが販売されていたりもする(日本仕様は最小でも17インチタイヤとなる)。
エクステリアデザインにはひと際こだわるアウディに、タイヤのゴム厚が目立つ16インチタイヤは、日本人の目で見ると「野暮ったくてカッコ悪い」と映るかもしれない。だが、無駄な装備を嫌う人が多いドイツでは、「快適に移動する」ために、こうした16インチを履いたベースグレードを選択する方も多い。
ただし、アダプティブクルーズコントロールやステアリングアシストなどの先進運転支援技術については、ベースグレードだとオプション装備になる場合もあり、これらが標準装備されている上位グレードの方が有利になることがある。
そう考えると、ベースグレードに先進運転支援技術を搭載したC200アバンギャルド(先代だとC180アバンギャルド)や、BMW 318iスタンダードなどが、「ベストチョイス」だと、筆者は考える。
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