安物買いが得しちゃう?? 輸入車はベースグレードが正義って本当なのか

安物買いが得しちゃう?? 輸入車はベースグレードが正義って本当なのか

 「先代CクラスはC180が一番」 「MINIはONEに限る」 「BMW3シリーズは318iがベストチョイス」――。クルマの試乗レビューなどで、よく見かける「ベースグレード最強説」。

 しかし、「走りの装備が満載されているほうがいいのでは?」と思う方もいるだろう。しかし、「走り=操縦安定性や乗り心地、音振性能を含めた動性能」という面だけを考えれば、決してそうとはいえない。その理由は大きく2つある。

文/吉川賢一、写真/BMW、Mercedes-Benz、Audi、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】こんな意外なメリットが!? ベースグレードを見ずして輸入車を語ることなかれ!!


■理由その1:ベースグレードは、タイヤ入力が小さい

1982年に登場したBMW E30型3シリーズ。標準タイヤは14インチ(195/65R14)であった

 ひとつめは、ベースグレードほど「タイヤからの入力が小さい」ということだ。昨今の上級グレードには、大径タイヤ&ホイールが装着されることが嗜みにもなっている。

 18インチ、19インチ、20インチと、大径タイヤ&ホイールになるほど、見栄えは立派になるのだが、その反面、乗り心地(突起乗り越し時の突き上げ)の悪化やロードノイズの増加などの快適性に大きなトレードオフが発生し、さらには、燃費の悪化、交換時の費用増加など、よくない影響が多く出てくる。

2019年登場のBMW G20型3シリーズ。スタンダードグレードのタイヤは16インチだが、Mスポーツは18インチとなる

 このトレードオフを解消するため、上級グレードには電制デバイス(電制ショックやエアサス)が追加されたり、ホイール内部に吸音スポンジを貼る、車体へ多めに遮音材を投入するなど、対策のためのコストを多くかけて成立させている。

 19インチ、20インチを当たり前に装着する高級セダンでは、少なくとも電制ショックアブソーバーは標準装備となっているのはそのためだ。

 もしタイヤを16インチ程度で設定できれば、余計なデバイスを付けなくとも、静かで乗り心地の良い、快適な動性能になる。

メルセデスベンツSクラスには、最大で255/40R20サイズのタイヤ&ホイールが装着されている。同時に、電制ショックアブソーバーやエアサスといった電制デバイスで、ショックを軽減している

 もちろん上級グレードであるほどに販売価格が上がり、自動車メーカーの利益は大きくなるため、ビジネス的には美味しいのだが、開発を担当するエンジニアにとっては、大径タイヤ&ホイールは大きな悩みでもある。そのくらい大径かつ低扁平のタイヤ&ホイールは、悪影響があるのだ。

■理由その2:ベースグレードは「軽いパワートレインに、強い車体」

クラス最高水準のねじれ剛性を達成したメルセデスSクラスのボディ構造。張力&超高張力鋼板やアルミニウム比率を約60%まで高めたアルミニウムハイブリッドボディシェルを採用している

 ふたつめの理由は、ベースグレードのほうが「動性能に有利な条件で設計される」ということだ。同一車種の場合、全グレード(メルセデスだとC180からC350といったラインアップのこと。拡幅されているAMGは除く)で、車体は同一構造のものを採用するのが一般的だ。

 その際、最も重たいグレード(≒上級グレード)を基準にして、衝突性能、耐久性能などが設計される。

 例えば、欧州車メーカーが得意とするディーゼルターボや、いま力を入れているプラグインハイブリッドの場合、ベースグレードとの車重差は、前者が約80kg、後者が約290kgにもなる(※E200とE220d、E350eを比較した数字)。

 この場合、最も不利な条件になるプラグインハイブリッド車の重量を元に、車体を作り込む場合が多い。

 つまり、比較的パワートレインが軽いベースグレードであるほど、車体剛性は良い意味でオーバースペックとなる。軽いパワートレインに、強い車体が組み合わされることで、ベースグレードは非常に優れた動性能となっているのだ。

 上記の、「タイヤ入力の小ささ」、「軽いパワートレインに強靭な車体」、このふたつが揃っているのがベースグレードなのだ。多くの自動車ジャーナリストが、「ベースグレードが良い」という理由は、そのクルマの「素」を味わえることが、最大の理由だと考えられる。

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