人気車納期がそろって大幅遅延…半導体危機はどこがどうヤバいのか

人気車納期がそろって大幅遅延…半導体危機はどこがどうヤバいのか

 昨今のニュースで「半導体危機」という言葉を耳にした人は多いはず。コロナ禍や工場の火災による減産、それに反する需要の高まりなど、世界の半導体不足は深刻な問題になっている。もちろんそれはクルマも例外ではない。今回の半導体危機は我々自動車ユーザーにどんな影響を及ぼすのか? そしてこの問題が解消されるのはいつ? この記事では、半導体危機によってクルマのどんな部分が大きく影響を受けるのかを中心に、問題の全体像を見ていくことにしたい。

文/長谷川 敦 写真/本田技研工業、日産自動車、トヨタ、写真AC、

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納車数カ月待ちはまだまだ続く! 半導体危機の影響

クルマ好きを直撃! 人気車の納車が大幅遅延! 半導体危機はまじでヤバい!?
ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」。販売開始は今年4月だが、発売前から人気が高く、上級グレードの「e:HEV PlaY」の納車は来年になるという話も……

 半導体不足が本格的に問題化し始めたのは昨年のことだが、この問題は現在も続いていて、つい先頃にはホンダの鈴鹿製作所が8月初旬の5日間を稼働停止することが発表された。停止理由は世界的な半導体不足で部品の調達ができないこと。もちろんこれはホンダだけの問題ではなく、多くのメーカーが半導体不足の影響を受けている。トヨタではこれまで2~3カ月だった「ヤリス」の納期が2カ月程度伸び、今夏に発売が予定されていた日産の新型電気自動車「アリア」の国内発売を今冬に延期。ホンダの新型スポーツSUV「ヴェゼル」も一部で納車が伸びている。

 メーカーが使用する自動車部品を筆頭に、カーナビやオーディオ、ドライブレコーダー、ETCなど、クルマにはありとあらゆる箇所に電子回路が搭載されており、それらすべてに半導体が使われている。つまり、半導体危機はメーカーや関連機器の製造会社、そして最終的にはエンドユーザーの我々にまで、無視できない大きな問題となっているのだ。

そもそも半導体とはどういうものなのか?

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半導体を使って作られた集積回路。パソコンに代表される電子機器のみならず、いまやクルマのありとあらゆる箇所にこの集積回路が使用されている

 半導体という言葉になじみはあっても、実際にはどんな性質を持った物体で、何に使用するのだろうか? まずはそのあたりを簡単に解説しておきたい。

 物質としての半導体は、金属に代表される電気を通す物質と、ゴムなどのように電気を通さない物質の中間的な性質を持った物質のこと。詳しい説明は省略するが、この性質を活かして開発されたのが半導体素子(デバイス)であり、ダイオードやトランジスタ、IC、LSIなどがそれにあたる。

 こうした半導体素子を組み合わせることによって電子回路が作られ、複雑な処理を可能にする。その電子回路がクルマのさまざまな部品に使われていることは皆さんご存知の通り。今回の半導体危機は、半導体素子が世界的に不足していることを指している。

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