日本で人気のボディカラーといえば、黒、白、シルバーだ。
街を眺めてみても、道は白、黒、シルバーばかりで、なんだかパッとしないように感じられる。どうしてそういった色を選ぶのかといえば、「日本人の国民性」という答えがまかり通っている。
しかし、実際のところそうなのだろうか。本稿では、新型アクアのボディカラーをフックに、日本車の人気色とその理由、そして多くの人が気になるであろう下取り人気について、現在、新型アクアの購入を検討中の自動車評論家・清水草一が読み解く。
文/清水草一 写真/フォッケウルフ、トヨタ
【画像ギャラリー】 「白、黒、シルバーは下取りが高い」は本当か!?
■新型アクアのボディカラーは地味!?
先日発表された新型アクアを見て、軽い衝撃を受けた。ボディカラーのラインナップが、ものすごく地味になっていたのだ!
10年前、私が先代アクアを購入した時は、ソリッドのオレンジ色がラインナップされていた。クレヨンで塗りつぶしたような色だったが、バカ売れして街にあふれるであろうアクアを少しでも個性的に見せたかったので、迷わずそれを選んだのでした。
狙いは的中し、オレンジ色のアクアは、クルマに興味のないおばさんなど、一般ピープルに大好評。車名は知らなくても「オレンジ色のクルマ」ということで、みんなに覚えてもらえた。
その後もアクアは、チャレンジングなボディカラーを展開し続けた。「Xアーバン」では2トーンが多数設定されたし、黄緑や紫など、ややギョッとするようなボディカラーも用意されていた。なのに、新型にはそういう色がほとんどない! 確かにアクアの個性的な色たちは、あまり売れなかったようだ。だからと言って、ここまで定番ばかりにしなくても……。
■地味な色が人気なのは日本だけじゃなかったという事実!
クルマにとってボディカラーは、ものすごく重要だ。ある意味、エクステリアデザインよりも重要だろう。クルマにさほど興味がない人にとって、クルマのデザインなどどうでもよく、印象は色で決まるのだから。
それほど重要なのに、あるいはそれほど重要だからこそ、多くの人はボディカラーで冒険を避ける。その主な理由は、
「あまり目立ちたくない」
「ヘンな色にして下取り価格が下がったら嫌だ」
このふたつである。
結果、世の中には白、黒、シルバーの無彩色カーが溢れ返っている。白と黒は汚れが目立つが、色としては無難かつ清冽で誰にも嫌われないし、シルバーは一番汚れが目立たないし、言うまでもなく無難。この3色は人気抜群だ。
「アクサルタ」が毎年発表している「世界自動車人気色調査報告書」2020年版によると、日本の乗用車のボディカラー比率は、このようになっている。
1位:白系/35%
2位:黒系/19%
3位:シルバー/11%
ここまでですでに60%。これに続くのは、青10%、赤7%、グレー(ガンメタ等)5%、茶5%、緑3%、黄2%、その他3%である。
こんなに白・黒・シルバーの割合が高いのは、保守的な日本の特徴かと思えばさにあらず。世界平均を見るともっと強烈で、白38%、黒19%、グレー15%、シルバー9%と、無彩色がなんと81%!
日本はグレーを含めても65%だから、むしろカラフルな部類に入るのですね。陽気そうなイタリアでは、赤などカラフルなクルマは眉をひそめられ、逆に実直そうなドイツのほうがカラフル好きと言うからビックリだ。
いや、海外のことはどうでもいい。問題はニッポンだ。世界一堅実でマジメな日本だからこそ、もっとカラフルで楽しいボディカラーが増えてもらいたい! なのになぜアクアは、こんなに地味な色ばかりに……。
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