えっ、団地にロマンスカーってマジか!! 関東近郊に眠る鉄道車両の名車たち

えっ、団地にロマンスカーってマジか!! 関東近郊に眠る鉄道車両の名車たち

 私たちが普段利用している新幹線や特急。今までスピードアップや技術の向上で多くの車両が誕生し、そして引退している。

 今回は、引退後も関東周辺に眠る、かつて活躍した鉄道界のスーパースターとも言える名車両たちをめぐってみた。

文、写真/成田颯一

【画像ギャラリー】ひっそりと佇む姿に現役時代の勇姿を夢想する……役目を終えて関東近郊に眠る鉄道界のスーパースターたち


■国内最速を出した新幹線の試験車両

国立駅を降りて5分ほど歩くと、突然昔懐かしい顔立ちの新幹線車両が現れる。一見すると0系のようにも見えるが、951系試験車という車両だ
国立駅を降りて5分ほど歩くと、突然昔懐かしい顔立ちの新幹線車両が現れる。一見すると0系のようにも見えるが、951系試験車という車両だ

 国立駅を降りて、道路沿いを5分ほど歩くと、突然丸いフェイスの新幹線が現れる。一見するとあの有名な新幹線0系に似ているが、横からよく見るとノーズが長く、少し形状が異なる。

 実はこの車両、0系の後継車両の開発と、山陽新幹線の岡山延伸時に、250km/hでの運転を見据えての試験に使われた951系試験車という車両だ。

 951系は2両編成の試験車両で、軽量化を目指してアルミ合金製のボディマウント構造が採用されたほか、電磁石を利用した渦電流ブレーキを搭載した試験も行われた。

 そして、今から約半世紀前の1972年に、開業前の姫路〜西明石の上り区間で、当時国内の鉄道で最速の286km/hをマークしている。クルマでいうと、スーパーGTのGT300クラスのマシンのトップスピードに近いイメージではないだろうか。

■新幹線と深い縁のある町「光町」

951系試験車。真横から見ると0系よりも若干面長でシャープな顔立ちだ。0系の後継車両の開発など、各種試験に使われたというドラマを持つ
951系試験車。真横から見ると0系よりも若干面長でシャープな顔立ちだ。0系の後継車両の開発など、各種試験に使われたというドラマを持つ

 では、なぜそんな歴史的な車両がここにあるのか? その答えは、すぐ向かいに門を構える「鉄道総合技術研究所」の国立研究所があることに由来する。(国分寺に位置するが、最寄り駅が中央線国立駅なので国立研究所となっている)。

 広大な敷地の同研究所では、現在でも車両や設備、信号システムなどといった、鉄道に関する最先端の研究が行われている。当然、東海道新幹線の研究、開発おいても大きな役割を果たした。

 このように、鉄道の研究開発の拠点がこの地にあったことから、951系が国分寺市へ同研究所から譲渡されることとなった。現在は、感染症対策で車両内部の見学ができないが、運転席に座ることもできる。

 951系の展示されている国分寺市光町は、もともと「平兵衛新田」という地名であったが、東海道新幹線で現在も運行されている「ひかり号」の名称をとって光町となった。まさに新幹線の町だ。研究所の一般公開日は、その旧地名から「平兵衛まつり」として開催され、地域住民との交流を行っている。

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