2008年に兄弟車となったトヨタの人気大型ミニバン、アルファードとヴェルファイア。導入から約10年間はヴェルファイアの人気がアルファードを上回っていたものの、2020年の全車種併売化以降、アルファードの売れ行きが大きく加速し、ヴェルファイアは目立たぬ存在となっている。何が原因だったのだろうか。
これまでも「なぜヴェルファイアがアルファードに逆転されたのか」に関して多くのメディアで取り上げられてきたが、本稿では筆者が販売現場で培った経験から、アルファード・ヴェルファイアの販売の歴史と、アルファードが現在人気を集めている理由を独自に解説していく。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA
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■アルファードは人気上昇したがヴェルファイアも失速したわけではない
ヴェルファイアは、導入当初から順調に販売台数を伸ばしていった。徐々にアルファードの人気が高まっていったのが、2015年のフルモデルチェンジ以降となる。その後の売れ行きを乗用車ブランド通称名別順位で見ていこう。
■アルファード/ヴェルファイア 販売台数(暦年)の推移
【2016年】ヴェルファイア:17位(4万8982台)/アルファード:24位(3万7069台)
【2017年】ヴェルファイア:23位(4万6399台)/アルファード:25位(4万2281台)
【2018年】ヴェルファイア:25位(4万3130台)/アルファード:15位(5万8806台)
【2019年】ヴェルファイア:23位(3万6649台)/アルファード:13位(6万8705台)
【2020年】ヴェルファイア:37位(1万8004台)/アルファード:5位(9万748台)
2016年~2018年までの間、ヴェルファイアの販売台数は大きく変化していていない。2019年の順位を見ても、前年とほぼ変わらず、失速を感じるのは2020年以降だ。対するアルファードは、2018年のマイナーチェンジ以降、ヴェルファイアを逆転し、2020年の全車種併売開始で爆発的に売れた。
なぜこの逆転劇が起こったのか。その理由を、ヴェルファイアが好調に売れていた、2010年代におけるトヨタの販売構造から紐解いていきたい。
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