新型シビックの受注における6MT車の割合は3割を超えているのだという。
意外と思うかもしれないが、シビックはもともとモータースポーツ色が強いモデル。かくいう筆者も鈴鹿サーキットで開催されていたスーパーシビックレース(1983年)がレースデビューだった。
その後もGT-Rが走ったグループAレースではクラス3でカローラとメーカーの威信を賭けたワークスの戦いを繰り広げたのだ。そんな歴史があるからタイプRなるモデルが生まれ、今もなおシビックエンスーの心をつかんで離さない。
さて、筆者自身は2ペダルがあたりまえのこの時代に、もう一度6MTに注目してもらいたい。欧州に行けば、いまだに3ペダルのMT車が走り回っているのだ。それを見るたびに日本人大丈夫か? と思う。
手足がそれぞれ別々の動きをしてドライブするMT車は、脳を刺激し、手足も良く動かす。血液循環は2ペダル車の比ではない。地方に行けばMT車の軽トラックを我が物顔に走り回る元気なお年寄りを見ることがあるが、健康を考えれば迷いなくMT車だ。
ということで、今回はその新型シビックの6MTモデルにスポットを当ててインプレッションしてみよう。
文/松田秀士、写真/池之平昌信
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■迫る電動化の前で希少な純エンジン+MTの魅力
よく考えると、もしかしたらホンダの純エンジン+MT車というジャンルでは、今回の新型シビック6MTモデルが最後になるのかもしれない。
というのも、ホンダは将来の電動化を宣言しているし、さらに2022年にはシビックのe:HEVモデルがラインナップされるらしい。もう一方のCVTモデルの完成度も高かっただけに純ガソリンエンジンモデルの行方が気になる筆者である。
筆者の考える良いMT車の条件を先に記しておこう。まずシフトストロークが適度にショートであること。シフトストロークが長すぎるのはもちろんNGだが、逆に短すぎるのも問題。ストロークが短すぎると、左右間のセレクターとの距離感が整合せず、シフトミスを誘発しやすい。
また、シフトノブを左右に動かした時(セレクター)の、自然に止まる位置を決めるリターンスプリングの強さと停止位置が自然であること。5速から4速にシフトダウンするときに、このリターンスプリングが強すぎると4速を飛び越えて2速に入れてしまいオーバーレブ→エンジンブローという危険性もあるのだ。
他にシフトを入れるときのシフトゲートの剛性感。もうひとつ付け加えるとクラッチペダルの重さとストロークも重要。特にストロークはシフトストロークと絶妙にリンクする。シフトストロークが短ければクラッチペダルストロークも短いのが望ましい。
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