新型コロナ感染者数がひとまず減少し、経済再生への取り組みが急がれる一方で、ガソリン価格が高騰している。この異常な高価格は輸送業界を直撃し、プライベートなドライブでさえ気が引けるほどのレベルだ。このコラムではまず、県別のレギュラー小売価格ランキングをご紹介したい。そして、なぜこれほどガソリン価格が高騰しているのかをマクロ的に検証してみる。
文/鈴木喜生、写真/写真AC
【画像ギャラリー】家計を直撃! 高騰しているのはガソリンだけじゃない
埼玉のガソリンが全国最安値! 東京都とは1リッター6.6円の格差
10月18日に経済産業省が公表した全国のガソリン小売価格(税込)の平均は、レギュラーがリッター164.6円、ハイオク175.5円、軽油144.4円であり、これは7年ぶりの高値だという。以下は、10月18日現在のレギュラー・ガソリンの県別平均価格ランキングだ。
レギュラーガソリンの現金価格推移
レギュラーの県別平均価格ランキング(現金・税込)
1位は長野県の172.4円で、全国平均より7.8円も高く、それに九州各県が続く。
関西では京都(6位)の168.7円が最高値で、隣の大阪(17位)は165.5円、その差は3.2円の開きがある。
東京(13位)は165.9円で全国平均より高い。これを隣県と比べると、神奈川(33位・162.3円)とは3.6円の差があり、千葉(42位・160.2円)とは5.7円の差、全国最安値の埼玉(45位・159.3円)とは、なんと6.6円ものギャップがある。千葉や埼玉のガソリンが安いのは、クルマ保有者が多く、スタンドが多くて価格競争が激しいためだ。
北陸エリアの富山(9位・167.2円)、石川(11位・166.2円)、福井(16位・165.5円)も一様に高めだ。愛知(27位)は163.4円で、全国平均よりは少々安い。
東北、関西、中国、四国は全国平均値よりも低めだが、その中では高知(10位)の167.2円が突出して高くなっている。
高速道路のSA・PAでのガソリン価格は?
高速道路のSAやPAでのガソリン価格は、県別平均よりも10~20円ほど高くなるものだ。その理由としては、SAやPAの店舗はセルフ式ではなく有人式であり、多くが24時間営業であることのほか、NEXCOなどへの手数料や運送費なども関係していることが挙げられる。
また、そもそも元売り会社のブランドが違い、フランチャイズで販売店ごとに経営主が違うため、各店舗によってガソリン価格の値付けが変わるのだ。
そうした特殊事情があるので、SA・PAのガソリン価格と、先述した県平均価格とは相関関係にあるわけではない。例えば東名高速道から名神高速道路への下りにあるSA・PAのガソリン価格を見てみると、以下のようになる。下記一覧にある「県」や「全国」は、その平均値との比較だ。
東名・名神のSA / PA(下り)レギュラー小売価格(現金・税込)
突出して高いのは神奈川県にある「海老名SA」と「足柄SA」の186.0円で、全国平均との比較ではプラス21.4円、県平均では(33位)プラス23.7円となっている。また、大阪の「吹田SA」も185.0円と高い。これは都市部のために土地代や借地権が高いことと、給油車が多くて人件費が高いためと予想できる。
足柄SAから90km先にある静岡県の「富士川SA」は1リッター177.0円であり、足柄SAと比較すると12円も安くなる。ちなみに、東京・吹田間で最も安いのは滋賀県の「草津PA」の170.0円だ。
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