コロナ禍が完全に収まったわけではないが、日本国内の新規感染者数が大幅に少なくなり、繁華街も活気を取り戻している。これから年末にかけて、タクシーの需要も増えていくはずだ。
人手が増える週末や終電の時間になると、都市部ではタクシー乗り場に長いタクシー待ちの列が出来上がる。場所によってはあまりに長い列のために、長時間待たされることもある。
そこで現役のタクシードライバーである筆者に、上手なタクシーの乗り方、活用方法を伝授してもらおう。
文/森吉雄一
写真/Adobe Stock(トビラ写真=Björn Wylezich@AdobeStock)
■繁華街に活気が戻ればタクシーが足りなくなることも
新型コロナウィルスによる規制も緩和され、今までゴーストタウン状態だった繁華街にも活気が戻り始めている。今後この調子でいけば、年末の忘年会シーズンにはタクシーが全然足りなくなって、早く家に帰りたくてもなかなか帰れないなんてことがあるだろう。
終電前後、駅のタクシー乗り場には長蛇の列。それを見て、列に並びたくないお客さんはどんどん上流に動き始め、何とかしてタクシーを捕まえようと道路にも人が溢れてくる。
こうなると、お客さんが乗っていようがいまいがまるでゾンビのようにお客さんがタクシーに群がる、いわゆる業界用語で「ゾンビ状態」に突入する。
空車のタクシーに手を上げたらなぜか逃げるように素通り。反対車線には空車がいっぱい通るのに、自分が乗りたい側の車線では、待てども待てども実車中(お客さんが乗っている)のタクシーばかり前を通って、なかなかタクシーに乗ることができないなんてことも。
都内ではタクシーの台数も多く普段はいつでも乗車することができるのだが、金曜の夜や忘年会シーズンなどは、お客さんが多くてタクシーを全然捕まえることができなくなる場面がある。毎日のように利用している慣れた人なら誰もが実践している程度の事だが、実はタクシーの捕まえ方にはちょっとしたコツがある。
■タクシーを捕まえるコツとは?
では空車なのに乗せてくれない理由は何故だろう? これはタクシードライバー目線で考えてみると分かりやすい。基本的にタクシードライバーは、できるだけ単価の高い遠くに帰る長距離のお客さんを掴みたいと思っている。
「どのお客さん乗せても同じじゃん?」と言われそうだし、もっともな意見なのだが、これは確率の問題。実は駅の近くで乗せるお客さんより、駅に並んでいるお客さんの方が長距離の可能性が高い。
その理由は、タクシー乗り場に並んでいるお客さんの心理にヒントがある。お客さんは、目的地が近いとタクシードライバーに嫌な顔されるんじゃないかと思っている。その辺を流しているタクシーならまだしも、駅で並んで待っているタクシーにワンメーターなどの短い目的地は伝えにくいはずだ。
逆に長距離利用のお客さんは、昨日今日デビューしたばかりの新人ドライバーや得体の知れないタクシーには乗りたくないものだ。その点、駅やタクシー乗り場のタクシーは比較的ちゃんとしている安心感があるので並んででも乗るし、終電を逃してしまった場合もそのまま駅のタクシー乗り場に並ぶ可能性が高い。
だから、タクシー乗り場手前で手を上げてくるお客さんは見えなかったことにしてスルーしたり、回送にしてまで乗り場までたどり着こうとするドライバーもいる(もちろんルール違反だが)。
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