昔のクルマは楽しかった……なんてノスタルジーに浸っている場合ではない!
クルマを走らせる楽しさ、思った通りに操る楽しさ。自分がそのクルマを選んだのと同時に、まるでクルマのほうも自分を選んだかのような『シンクロ率100%』の感覚……それは時空を超えて脈々と受け継がれている!
今回はホンダ軽ミドシップスポーツの系譜、ビートとS660に乗って『シンクロ率100%』の世界を味わった。
※本稿は2021年8月のものです
文/ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部 ほか 撮影/池之平 昌信
初出:『ベストカー』2021年9月10日号
■時代を超越した走りの楽しさを味わう!!
ベストカー本誌8月10日号でお届けした『時空を超えた・人馬一体の魅力』特集。「なんでビートが出ていないんだ!!」というお叱りの声を多数いただいた。
そりゃそうだ!! ホンダが1991年、軽自動車規格のなかで656cc直列3気筒NAエンジンをミドに搭載し、フルオープンの2シータースポーツモデルを作り出したんだから、これを取り上げない理由がない。
しかも「こんなクルマ、2度と出ないよなー」と残念な思いをした1995年10月の生産終了から20年、2015年には軽自動車枠で再びミドシップ2シータースポーツのS660がデビューしたのだから、まさに「時空を超えた」ホンダ軽ミドシップスポーツの系譜だ。
改めてビートとS660の2台を並べて見ると、ビートの小ささが際立つ。軽自動車の旧規格に基づいたビートの全長はS660より100mm短い3295mm、全幅は80mm狭い1395mm。
S660はルーフトップのみが外せるいわゆるタルガトップなのに対し、ビートはソフトトップのルーフ全体が開くフルオープンということもあり、斜め後ろから見た際のボリューム感がまったく違う。
■アクセルレスポンスではビート、瞬発力ではS660に軍配
まあ、とにかく走り出そう!! ビートはNAだぜ!! 排気量はたった656ccしかない。しかもSOHC。アイドリングじゃステアリングはブルブル振動し、シートもフロアもエンジンの鼓動を伝える。同じ3気筒でもS660はキッチリ振動は抑えられていて洗練度は高まっているけど、ビートの素朴さも悪くない。
ビートのエンジン、ビンビン気持ちいい!! よどみなくレッドゾーンの8100rpmまで吹け上る!! 5000rpmから上でのアクセルレスポンスなんて、バイクのエンジンみたいにピリピリくる。SOHCだよ?
ま、その代償に3000rpm以下はスカスカなんだけどね。だから、5MTを駆使してエンジン回転を5000rpm以上にキープしてやる。これが楽しいのよ。
S660のターボは対照的に2000rpmあたりでしっかりとトルクが出ていて、言うまでもなく瞬発力はビートを圧倒するし、使いやすさも比較にならない。けど、吹け上りの気持ちよさ、アクセルレスポンスのシャープさって点ではビートのE07A型エンジンの勝ち。
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