2021年7月、電気自動車ベンチャー企業のHW ELECTRO株式会社から、小型EVトラック「エレモ(ELEMO)」が登場。同年11月には軽商用EV「エレモ‐K(ELEMO-K)」が発表された。
HWエレクトロ社とはどのような会社なのか? 「エレモ」試乗、そして「エレモ‐K」はどのようなモデルなのか? などを解説する。さらに今後のEVの可能性と障害を考察する。
文/御堀直嗣、写真/HW ELECTRO
【画像ギャラリー】日本のEVベンチャー企業から誕生!! 小型商用EV「エレモ(ELEMO)」をチェック(15枚)画像ギャラリー電気自動車ベンチャー企業のHWエレクトロ社とは?
2021年7月、晴天の東京・有明で、電気自動車(EV)ベンチャー企業のHWエレクトロ社が、小型商用EV「エレモ(ELEMO)」を正式発表した。続いて11月には、その軽自動車版であるエレモ‐Kを発表している。軽商用EVは、7月の発表時点でHWエレクトロの蕭 偉城(ショウ・ウェイチェン)社長が、「年内には軽自動車を実現したい」と抱負を述べていたことが、短期間で実現されたのだ。
その直前の10月には、オートバックスセブンと資本提携に関する契約をHWエレクトロは結んでいる。HWエレクトロは、小型商用EVを開発製造する会社であり、それを拡販するには拠点が必要で、さらに販売後は法定点検など保守や管理も必要になる。
オートバックスは、自動車用品店のチェーン展開を全国で行っていることで知られているが、スポーツカー研究所でガライヤというスポーツカーを開発したり、ガソリンスタンド経営や、新車・中古車販売なども手掛けたりし、用品販売に止まらない事業展開を模索し続けている。今回、EVの販売や保守・管理へ進出する手がかりをHWエレクトロとの提携で掴むことになるだろう。
HWエレクトロが手掛ける商用EVの分野は自動車メーカーによる取り組みが手薄であり、オートバックスともども事業拡大を期待できるといえる。
HWエレクトロが販売するエレモは、米国のセントロ社が欧米などで販売してきたEVを日本向けに改良したもので、輸入車の小型EVトラックとして4月にナンバー取得を果たした。
米国では、1990年代のZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)法導入のころから、数々のEVベンチャー企業が生まれた。ゴルフカートに近いようなEVを含め、米国内で活用されてきた経緯がある。たとえばバリアフリーの取り組みの一環として、空港内をEVで移動する姿は当時からあった。そのころはまだ、バッテリーが鉛酸かニッケルカドミウムしかなかったが、使える場所で役立てる発想で、屋内でもクルマで移動できる便利さを活用してきたのである。
そうしたベンチャー企業の取り組みが、単に電気屋、あるいは制御屋という専門性を超え、クルマにも精通した人材を生み、それがテスラのような今日躍進するEVメーカーの土台になってきた。
したがって、セントロ社が製造してきた実績ある小型EVトラックを日本仕様に改造し、ラストワンマイルと呼ばれる単距離の小口配送を排出ガスゼロ化することに志を抱いた蕭社長が実行に移したのが、HWエレクトロのエレモという商用EVなのだ。蕭社長は台湾国籍だが、日本で育ち、日本の事情に精通する。
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