エレモとはどのようなEVなのか
小型商用EVとしてのエレクトロには、3つの車型がある。一つは小型EVトラック、そして、小型EVバンと、荷台を様々に活用できる基となるフラットベッドだ。また電池積載量に応じて、エレモ120とエレモ200がある。数字は、一充電走行距離を表す。120は300万円以下、200は340万円からという価格帯だ。
乗用車では様々な使い方が考えられるので、一充電走行距離が120kmや200kmでは足りないとの声も聞こえてくるかもしれない。しかし、事業用であれば概ね日々の移動距離は安定しやすいので、用途に応じて選べばいい。
充電は、200Vの普通充電のみだ。これも、一日の業務を終えて事務所や自宅に戻って充電すれば、翌朝には満充電で仕事へ行けるといった使い方であれば不自由はない。逆に、仕事を終えたあとガソリンスタンドへ立ち寄らずに済む容易さがある。
日々身近にあるEVになるので、エレモは災害対応のため、100Vの交流電気を取り出せるコンセントを備える(エレモ‐Kは注文装備)。これは、災害対応だけでなく、移動販売などを行う際の電源としても活用できる。三密を避ける暮らしが浸透した今日、移動販売の拠点に200Vの電源を設ければ、充電しながら商売もできることになり、そうした社会基盤整備も今後は検討の余地がある。
エレモ‐Kは、小型EVのエレモの全長を短くすることで軽自動車規格に合わせた。一充電走行距離は120kmで、積載重量は350kgである。軽自動車規格の最大積載量を満たしており、エンジン車の軽トラックと同じ使い方ができる。荷台がアルミ製というのが特徴で、錆対策だという。価格は、249.7万円だ。
軽トラックとしてはまだ高値だが、来年度の補助金対象となれば、入手金額は200万円近くまで下げられるかもしれない。日産と三菱自から来年販売される軽EVも、200万円を視野に入れているはずだ。
小型商用EV「エレモ」に試乗!!
エレモ‐Kは、まだ発売されたばかりのため試乗できていないが、小型EVのエレモには短距離ながら試乗することができた。運転席に座ると、スイッチなどは非常に簡素で、一般にシフトレバーに相当する部分は、前進(D)、後退(R)、ニュートラル(N)の3ポジションのダイヤル式スイッチ操作だ。オートマチック車でのPポジションはないので、駐車の際は必ず駐車ブレーキレバーを引くことが求められる。
Dにスイッチを回わし、駐車ブレーキを解除してアクセルペダルを踏めば走り出す。モーター駆動なので発進の力は十分で、その先も伸びやかに加速していく。当然ながら静粛性にも優れる訳だが、モーター走行する車両に求められる車両接近通報装置としてピーピーという音が出るのはともかくも、その音質が警告音のような音色であるのは気掛かりだ。理解すれば何事もないが、はじめは何か車両に不具合でも生じたのかと不安になった。
ブレーキの倍力装置や、パワーステアリングは装備していない。このため、ブレーキペダルはしっかり踏み込む必要があり、またハンドルは両手で確実に回す必要がある。それでも、必要以上の力を込めなければならないほど腕力がいるわけではない。
運転の基本としての正しい操作が求められると思えばいい。そのことが、逆に、運転操作のし損ないを防ぐことにつながるのではないか。今後に対しては、より回生を積極的に活用する制御を採り入れていくと、頻繁に発進と停止を繰り返す市街地での配送などで、バッテリー電力の回復の一助になるのではないか。
EVならではの滑らかな発進・加速と走行中の静粛性は、終日クルマで移動しなければならない配送や営業で働く人々の労働環境の改善につながると期待できる。一般に、商用のエンジン車は遮音や防音材が省かれ、車内は騒音が大きくなる傾向にある。
生産財として価格を引き下げる側面でまだ課題の残る商用EVだが、HWエレクトロの挑戦は、脱二酸化炭素時代の物流におけるラストワンマイルでの排ガスゼロ化の手本になると期待する。
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