本誌『ベストカー』にて、毎号技術系の最新情報や気になる話題をお届けしている「近未来新聞」。
今回は台湾の鴻海が試作EVで価格破壊、トヨタの電池工場建設で電池争奪戦激化、商用車カテゴリに中華EVが大挙襲来、などの話題をお届け!
※本稿は2021年11月のものです
文/角田伸幸 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年12月10日号『近未来新聞』より
■EVに価格破壊の兆し!? 鴻海が試作車を発表!
スマホのビジネスモデルでEVを作ろうと目論む台湾の鴻海(正確には子会社のフォックストロン)が、MIHというプラットフォームを使った試作車を公開した。
参考までにMIHとは、鴻海が世界中に利用を呼び掛けている「EVの基本セット」のこと。「これさえあればどんな企業でもEVが作れる」と言われ、いまや2000社もの企業が開発に参加する注目の技術なのだ。
今回公開された試作車はSUV、ラグジュアリーセダン、大型バスという3車型で、実際の製造は、鴻海のパートナー企業である裕隆(ユーロン)汽車が手掛けた。
なかでもベストカーが注目したのは「モデルC」と呼ばれるSUVだ。このクルマ、モーターのスペックが300kW/700Nm(407.9ps/71.4kgm)、バッテリーの容量が93.8kWhというから、ポルシェ・タイカンとほぼ同等の性能を持つ。
加えて700kmという最大航続距離は、タイカンをはるかに凌いでしまうにもかかわらず、なんとタイカンの3分の1の価格、400万円で、2023年から市販されるというのだ。
まさにこれこそが、MIHの破壊力。EVで一番お金がかかるバッテリーやモーターをプラットフォームとして共用できるので、劇的に安いEV開発が可能になるわけだ。
実際、鴻海とも提携する日本電産の永守重信会長は、「EVの価格は5分の1になる」と豪語する。消費者としてはうれしいが、自動車産業がどう存続するのかと考えると、頭の痛い動きでもある。
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