自動車各メーカーが2030年までに純ガソリンエンジン車の生産を止め、EVへシフトすることを発表している。数年間で急激なEV化が進むとみられるクルマ社会。インフラの整備も大きな課題だ。
EV充電器が増えてきたとはいえまだ日本では浸透率が低いEV。ディーラーの充電事情にスポットを当てながら、今の日本のEV適応率を考えていこう。
文/佐々木 亘
写真/NISSAN、HONDA、TOYOTA、SUBARU、MAZDA、Adobe Stock
■電気自動車の充電規格はどうなっている
日本で使用されている急速充電の規格はCHAdeMO(チャデモ)と呼ばれている。高電圧直流電流で急速充電する方式をルール化したもので、2010年にトヨタ・日産・三菱・スバルと東京電力が幹事となって決められたものだ。
各メーカーがそれぞれ独自の充電方式を採用すると、EV普及の障壁となるため、日本では各社が手を取り合った。
チャデモ方式は、2つの送電用コネクタ、6つのコントロールライン、2つのCAN通信コネクタが備わり、クルマと充電スタンドの双方で情報をやり取りしながら、誰でも安全に充電できる設備である。
しかしひとたび世界へ目を向けると、充電方式は様々だ。欧米ではコンボ方式、中国ではGB/T方式や次世代のチャデモ方式を採用する。
国や地域ごとではなく、自動車メーカーで独自の急速充電方式を採用するところもある。電動化の最先端を進むテスラやポルシェは独自の急速充電方式を採用しながら、独自の充電インフラを備えた。
海外旅行に行くときに、各地域に合わせた変圧器や変換プラグを持っていくように、電気の世界統一基準は生まれにくい。まずは、国内だけでも統一基準があることを、安心材料としたいところだ。
■EVスタンドは超高額な設備投資
ショッピングモールやパーキングエリア、街中のコインパーキングにまでEVスタンドが設置されることが増えてきた。もちろんディーラーにもEVスタンドの設置は進んでいる。
EVスタンドも種類が様々だ。プラグインハイブリッドとBEV、どちらを充電することが多いのかによって、設置するEVスタンドの性能も少しずつ変わっている。
BEV向け充電スタンドで、最高レベルの設備を持つのは、日産ディーラーだろう。リーフを発売し、BEVを浸透させ、販売店へEVスタンドを準備した。BEV向けの大容量バッテリーでも急速充電可能な、EVスタンドとなっている。
BEV販売と並行してEVスタンドの建設が進められるが、その値段は1基300万~500万とも言われる。
利用について各販売店に聞いてみた。基本的に自社のオーナー、自メーカーのオーナー利用を想定しているが、他メーカーのクルマが来ても無下には断らないという。ただし、自メーカー車を優先的に充電することはあるそうだ。
充電規格とプラグが合っていれば、基本的にどのクルマでも使えるEVスタンド。こうした方針には、協力的なディーラーが多かった。
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