現行型インサイトは2018年登場の3代目モデルで、パワートレーンは1.5Lハイブリッドのi-MMDを採用するセダン。価格は335万5000~372万9000円で、クーペ風のリアスタイルが特徴的だ。
2022年にシビックハッチバックのハイブリッドが発売されると、インサイトはさらに立ち位置が難しくなるはずで、おそらく生産終了となる可能性が高い。そこで改めてインサイトに試乗した国沢光宏氏が評価を下す。
文/国沢光宏
写真/国沢光宏、ホンダ、ベストカー編集部
■地味な印象の現行型インサイトだが……
ホンダからのリリースこそないものの、どうやらシビックのハイブリッド仕様を出すタイミングでインサイトの国内販売は終了するようだ。まったく売れてないですから。
インサイトというクルマ、初代と2代目こそ賑々しくデビューしたものの、強敵プリウスを前にまったく歯が立たず、右肩下がりで販売台数を落とし、いつのまにか退散してしまった。
3代目は地味に登場し、その後一度も表舞台に立つことなく去って行くことになる。おそらく相当のクルマ好きであっても印象に残らず終わり、10年後のベストカーで「こんなクルマあったっけ?」のテーマにされちゃうこと間違いなし!
しかし! クルマそのもの仕上がりは歴代インサイトで圧倒的によく、プリウスとガチで戦っても負けない。
■プリウスに挑むインサイトの歴史
改めて3代目インサイトを紹介してみたいと思う。あまり認識されていないけれど、ホンダがホンキになって開発した「プリウスキラー」である。初代は初代プリウスに対するホンダの意地だった。
ハイブリッド技術の実力不足を軽量化でカバー。アルミでボディ作ってます。2代目もハイブリッド技術の実力不足を認識していたと思う。
そこでプリウスより圧倒的に安い価格設定とした。しかし「安さ」がトヨタの魂に火を付け、逆に「誰が考えてもプリウスを買うでしょうね!」という魅力的な価格を付けられてしまう。
プリウスの価格が公表された時点で勝負決まったほど。私も比較のため2代目のインサイトと3代目のプリウスを購入したが、悪いクルマじゃないけど厳しかった。
ということで「今度こそ!」のイキオイで開発された3代目インサイト、なかなかの力作である。ハイブリッドシステムは、日産のe-POWERと基本的に同じ2モーター式ハイブリッド。
ホンダの優位点は巡航時にエンジンと駆動軸を直結にできること。エネルギーの伝達効率がいいため、高速道路の巡航燃費で明確にe-POWERより有利だ。
車体もプリウスより優位にある。フィットをベースとした2代目インサイトと3代目プリウスを並べると、100人中99人がプリウスの勝ちだと判断する圧倒的な差だった。
けれど新型インサイト、現行プリウスと並べたら、100人中99人がインサイトに軍配を上げるだろう。カッコいいだけじゃなく、居住空間の広さ感など圧倒的。
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