時代は空力性能の高そうな“丸っこいクルマ”の最盛期。かつて主流だった“四角いクルマ”はもはや絶滅の危機に瀕しているのだろうか? この記事では、クルマのカタチ、特に乗用車のシルエットが丸くなっている現状を考えるとともに、以前は人気を集めていた四角いクルマとその後継車を紹介し、デザインがどのように変化したのかを見ていくことにしたい。
文/長谷川 敦、写真/日産、トヨタ、フォルクスワーゲン、ホンダ、三菱自動車、FavCars.com
【画像ギャラリー】コアなファンが多い! イケてる四角いクルマたち(18枚)画像ギャラリーエコっぽい外見が現代車の必須条件?
最近、街中で“四角いクルマ”を見る機会が減っている気がしないだろうか? 「いやいや、トラックやミニバンなど、四角いクルマはまだまだある!」と言う人もいるとは思うが、ここで考えたいのはセダンに代表される乗用車のハナシ。ただし、今やセダン自体がミニバンやSUVに押されて減りつつあるというのは、ひとまず置いておいてほしい。
以前のセダン(と言っても何十年の前だけど)は、箱型の車体に箱型のキャビンを組み合わせたようなデザインが多かった。プレス成型で製造されるセダンのボディは直線基調のほうが作りやすく、室内空間を大きくしたい場合にも箱型は有利だった。また、フロントガラスもあまり複雑な曲面にしないほうがコスト(=販売価格)を抑えることができた。「ハコ車」という言葉も、このようなクルマの形状が由来だ。
こうした理由から、乗用車の多くが箱型フォルムを採用し、その条件下でどうしたらカッコ良く見えるか? を工夫してデザインしてきたという歴史がある。だから昔の四角いクルマは、武骨ながらもカッコいいのだ。もちろん、美醜のジャッジは完全に個人の主観だから、丸っこいデザインのほうがカッコいいという意見もあり、現代はそれが多数派になったとも考えられる。
曲線基調のクルマが増えてきたのは、製造技術の進化も後押しになっている。シンプルな直線ではなく、曲線を描くボディを以前よりも安価で製造できるようになり、それはガラスも同様。同じコストで作れるなら、人気が高く売れるデザインを採用するのはメーカーとして当然だろう。
そして現代はエコ時代。クルマの空力性能を高めれば燃費も向上し、排気ガスの抑制やガソリン消費量の軽減につながる。実際には直線基調のクルマでも工夫次第で空力性能を上げることができるのだが、いかにも空気をスムーズに流しそうな曲面デザインのほうがエコに見えるのは否めない。それが四角いクルマには向かい風になったと言える。
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