四角いデザインはなぜ減った? クルマのカタチはどう変わる?

ムカシの四角いクルマはこんな魅力的!

四角いデザインはなぜ減った? クルマのカタチはどう変わる?
レースバージョンは「走る弁当箱」とも呼ばれたボルボ240。そのスタイルは「四角い」としか言いようがない。これで速かったのだからカッコいい

 みなさんは“四角いクルマ”と聞いてどのモデルを思い出す? 筆者のアタマに最初に浮かんだのはボルボの240だった。1980年代に販売されていたこのクルマは、四角いフォルムが多かったこの時代のなかでもひと際角ばっていた。しかし、抜群に速いクルマでもあり、1985年に日本の富士スピードウェイで開催されたハコ車のレース「インターTEC」でワンツーフィニッシュを飾っている。その姿から海外では「Flying Brick(空飛ぶレンガ)」と呼ばれ、日本では「走る弁当箱」とも言われた。

 世界中で売れた四角いクルマの代表格はフォルクスワーゲン(VW) ゴルフの初代モデルだ。丸いほうのクルマの筆頭ともいえるVWビートルの後継車として誕生したゴルフは、先代とは180度イメージが異なる四角いフォルムで登場し、駆動方式もビートルのRRからFFへと変更された。実用性も高かった初代ゴルフは、今でも歴史に残る大衆車の一台に数えられる。

 四角いセダンではメルセデスベンツの190Eあたりが思い出に残る。そして2ドア車ながらかなり四角かったのがBMW M3。前出のゴルフを含め、四角いクルマはドイツ車に多いという印象もあるが、イタリアのフィアット パンダ初代モデルも実に四角いクルマであった。

 1980年代までは、スポーツカーでも四角いクルマがたくさんあった。たとえば日産シルビア。後年には流れるようなボディラインの美しさで人気を集めたシルビアも、1983年登場の4代目S12型はずいぶん角ばったフォルムをしている。それでも十分にスポーティな外見であり、実際速そうに見えた。

 トヨタ初の量産ミドシップモデルのMR2(AW11型)だって、今見るとかなり角ばっていることに少々驚かされる。同時代のセダンに比べれば車高も低く、流線型とも言えるが、四角いクルマの仲間に入れてもおかしくはない。

四角い乗用車の復権はあるのか?

四角いデザインはなぜ減った? クルマのカタチはどう変わる?
現在最も売れているクルマのひとつであるスズキ ジムニーシエラ。ご覧のとおりスクエアなフォルムで、丸くなければ売れないというわけではないことを証明した

 さてここで、ミニバンやSUVに目を向けてみよう。四角いSUVの代表で、いまだに長期納車待ち状態になっているのがスズキのジムニー&ジムニーシエラだ。このクルマがどこからどう見ても“四角い”のは間違いなく、これが人気の一因にもなっている。つまり、やりようによっては四角いデザインでも十分に現代で通用するということ。

 そして2022年1月7日に世界初公開された新型ステップワゴン(正式発表発売は今春予定)はシンプルにすごく四角い。この新型ステップワゴンが大ヒットすれば、それを起爆剤として四角いクルマが復権する可能性も大いにありそうだ。

 ミニバンは四角いのが基本とも言えるが、一時期は「天才タマゴ」のキャッチフレーズで販売された初代トヨタ エスティマ(1990年)のように、丸さをウリにしたモデルも存在していた。しかし、ミニバン本来の用途である大人数での乗車&荷物積載量の多さを考慮すると、自然に角ばったフォルムになり、現代でもミニバンは四角を基調にしたデザインが多い。

 ではセダンやコンパクトカーなどの乗用車はどうだろう? 現状で日本をはじめとする世界の乗用車はやはり丸い。これには冒頭で説明した理由があるのだが、時代によって流行が変化するのもまた事実。つまり、将来的に四角いクルマが流行るという可能性も否定できない。シャープなイメージとともに未来の街を走る四角いクルマ。そんな風景を想像してみるのも楽しい。

エアー(左)とスパーダ(右)の2モデルが発表されたホンダの新型ステップワゴン。視界確保のためAピラーの角度がかなり急で、これが“四角感”を強めている
エアー(左)とスパーダ(右)の2モデルが発表されたホンダの新型ステップワゴン。視界確保のためAピラーの角度がかなり急で、これが“四角感”を強めている
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