UDトラックスが2021年7月に発表した「UDアクティブステアリング(UDAS)」は、各種センサーで走行状況を類推し、必要に応じて電動モーターでステアリング操作の支援を行なう、まったく新しいトラック用の安全支援システム。同社の大型トラック「クオン」の一部車型にオプション設定されている。
低速時の操舵力軽減や、路面の不整に対するキックバックの低減など、UDASの主要機能は発表時のテストコースでの試乗で確認済みだが、今回は一般道と高速道路での試乗を実施。多賀まりお氏が体感した実際の運用上のメリットとはどんなものだろうか?
3月14日発売の「フルロード」最新号から、ダイジェスト版の試乗インプレッションをお届けしよう。
文/多賀まりお、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年3月14日発売「フルロード」第44号より
UDアクティブステアリングとは?
UDアクティブステアリングは、ボルボが2013年に発表した「ボルボ・ダイナミックステアリング」のUD仕様である。
機構としては、ドライバーのステアリング操作を前軸の操向機構に伝える仕組みのうち、油圧式パワーステアリングギアボックスの入力部、ステアリングから繋がったシャフトの取り付け基部に電動モーターとコントロールユニットを取り付けたものだ。
コントロールユニット内にはセンサーが備え付けられ、舵角(前輪の向き)などを1秒間に2000回の頻度で感知。さらにヨーレート、エアサスの空気圧、車速といったセンサー類の情報を合わせて車両の運転状況を類推し、必要に応じて電動モーターを制御して各種支援を行なう。
支援内容は、低速時の軽いステアリング、高速走行時の直進安定性、不整地走行時の路面状況の影響軽減、横風発生時の走行補正、後退/右左折時の自然なハンドルの戻りの5つ。なお、コントロールユニット部以外のセンサー類は既存の機器と兼用している。
搭載車両は、クオンの4軸低床CG系単車の後輪エアサス仕様のホイールベース7520mm車、2軸GK系セミトラクタのホイールベース3200mm車で、車線逸脱抑制機能(LDP)とのセットでオプション設定。
悪路を走る機械のある特装系など、UDASのメリットを享受できる車型は他にもあると思うが、本格的な展開は市場の反応を見ながらということだろう。