2021年末、大々的なEV戦略を発表して世界を驚かせたトヨタ。しかし脱炭素に向けてEV一本というわけではなく、全方位戦略で対応していく姿勢は今までと変わっていない。
そしてトヨタが実験的にレースに参戦するなどして力を入れているのが水素エンジン。ミドシップスポーツへの搭載を想定していると説明されていたが、水素エンジン搭載第1号車はあの超メジャーSUVで検討されているとの情報が入ってきた!
※本稿は2022年2月のものです
文/ベストカー編集部、写真/TOYOTA、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年3月10日号
■「ランクル水素化計画」進行中!?
昨年末、大々的なEV戦略を発表して世界を驚かせたトヨタだが、脱炭素に向けてEV一本ではなく、全方位戦略で対応していく姿勢は変わっていない。
そのなかの大事なアイテムのひとつが水素燃焼エンジンだ。
水素燃料は炭化水素でできているガソリンや軽油から炭素を除去した燃料で、燃焼してもCO2を発生しない。しかも、既存のエンジンをほぼそのまま使えるというメリットもある。
もちろん、製造、運搬、インフラ整備など課題は多いものの、トヨタはスーパー耐久レースで実験的に水素エンジン車を走らせるなど本気で取り組んでいる。
昨年秋には岡山国際サーキットでのレースでヤマハが開発したV8、5Lの水素エンジンを公開。
トヨタから委託されて2018年に製作したエンジンで、レクサスRC F、LC500に搭載されている2UR-GSEエンジンを改良したものだ。
ガソリンエンジンと同等の335kW(455.5ps)/540Nm(55.1kgm)を発生する。
このエンジンはミドシップスポーツへの搭載を想定していると説明されていたが、驚くことに、トヨタの水素エンジン搭載第1号車はSUVで検討されているとの情報が入ってきた。ランクル300が有力だという。
実は、トヨタはランクル300をEVに改造してテストを続けており、砂漠での走行試験も行っている。
砂漠でEVを走らせるのが難しいことは容易に想像できるが、やはり細かな砂鉄がモーター内の磁石に入り込み、砂漠では耐久性を確保するのが困難なのだという。
また、水害の多い国、地域でEVを走らせるのは危険であり、やはり水素燃料や合成燃料を使った内燃機関の継続は不可欠であるとの結論に達しているのだ。
水素燃料はガソリンよりも大きな燃料タンクを必要とするから搭載車は大型サイズが望ましい。
また、排気量が大きいほど低速トルクが出しやすいのはガソリンと同じであり、さらに中東を中心とした使用環境を考えるとランクル300が最も水素エンジンにふさわしいクルマだという評価になっているというのだ。
インフラ整備も含め、まだ実用化には時間がかかりそうだが、2030年までには市販水素エンジン第1号車としてランクル300が登場する可能性は高い。
トヨタは本気だ!
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