サンルーフというのもよく考えてみれば不思議なネーミングのように思える。四季を通じて日射しを愛でたいという感覚は欧米が日本よりも強いこともあるからか、海外メーカーはサンルーフの設定に熱心であり、多くの輸入車に採用され続けている。
かつては日本車でもセダンやクーペ、ミニバンなど、多くのモデルに採用、設定されてきたサンルーフは、最近ではあまり見かけなくなった印象がある。
流行り廃りは世の常だが、メーカーオプションとして代表的な装備のひとつであるサンルーフの今を見てみよう。
文/岩尾信哉
写真/アイシン精機、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、スズキ、ダイハツ
■呼び名が変化する理由とは?

サンルーフの機能は、ルーフパネルの一部が開いて外気や外光を採り入れるタイプとガラス張りのはめ込み式タイプがあり、メーカーによってはムーンルーフ、パノラマルーフとも呼ばれている。たとえば、輸入車ブランドではメルセデス・ベンツが「スライディングルーフ」の呼称を使っている。
メーカーオプションであれば、基本10万円を超えるような決して安価とはいえない装備だから、メーカーとしても装着車両の価格設定との兼ね合いを慎重に吟味しつつ、顧客のニーズが存在するのか検討しているはずだ。
サンルーフが贅沢品であることは確かで、中古車市場でも装備車両が出回る数が少なく、買い取り(下取り)価格が上がる要素でもある。
サンルーフは海外市場のニーズを受けて、日本市場でも1970年代から採用が始まり、1980年代からセダンやスペシャルティクーペ、RVなどで広く設定され、1990年代のミニバンには大型のサンルーフが見られるようになった。
メーカーオプション装備として上位グレードに設定されることが多く、ある意味で贅沢さを演出する要素にもなっていた。
ただし時代が移るとともに、1990年代以降になるとエアコンの室温や換気機能などの制御機能が向上したことや、ミニバン・カテゴリーが過当競争の時期を経てブームが衰退するとともに、サンルーフの存在感も薄れていったように感じられる。
現在ラインナップされているミニバンを見ても、セレナ、新型ノア&ヴォクシー、そして新型ステップワゴンなどがサンルーフを設定しなくなった。
いっぽうで、現在ではSUV系のモデルの新型車には上位グレードに、メーカーオプションとして限定的に設定されるケースが見られるが、設定が減少傾向にあることは明らかだ。
■サンルーフはコンパクトカーにそぐわなくなった?
概況はさておき、ルーフが開閉する装置であるサンルーフの機能を具体的に説明していこう。
可動機能としてルーフパネルの一部(主に前席上部)にスライドやチルトアップ(ルーフラインから後部側が傾斜して上昇)を備え、スライド機能としてはパネルをルーフ内部に収納するタイプと外部にせり出させるアウタースライド式がある。
最近ではパネル部の素材はガラス製が多数を占め、はめ込み式とされて開閉できないタイプが多くなりつつある。ガラス製ルーフがややこしいのは、パネルが可動なのか否かという点で、個人的には開け閉めができないはめ込み式をサンルーフとは呼びにくい。
とはいえ、換気機能はもたずとも日射しを採り入れる効果はあるので、開放感は得られる。遮光するためのシェードも電動化されるなど、細かい進化も見逃せない。
メーカーとしてサンルーフを装備に設定するか否かは、軽自動車やコンパクトカーではサンルーフの装着が燃費性能、実際の燃費に関わってくる。ガラス化が進んだパネル素材も軽量化や多機能化が進み、生産面での扱いやすさも増している。
いっぽうで、システム全体としてはルーフパネルを利用したタイプで10kgを切る製品があれば、大型ガラスルーフのように20~30kgと嵩張るものもあるが、いずれにせよ重量増加は避けられない。
前述のように現在流行りのミドルクラスのクロスオーバー系SUVなどであれば、コンパクトモデルに比べて燃費への影響が少なくて済むので、メーカーが採用に関して腰が引けることはないだろうが、実燃費を重視する顧客が多い軽自動車やコンパクトカーでは設定しにくいことは確かだ。











コメント
コメントの使い方俺が好きだから
こいつら俺と反対のことやるから
くそ聖徳
真の高級車はサンルーフの設定は無い。加えて大統領や要人警護用車両にもサンルーフは装着されない。
新型アウトランダーPHEVに付けた。 マイカーでは2代目プレリュード以来。高原をドライブするとき全開すると気持ちいいね。
床下にバッテリー重量があるから、トップヘビー感は全くない。
夏場の駐車で室内の換気を早めたい時も重宝する。つけてよかったと思っている。
ブッチャケいうと、洗車時の屋根面積が減ることもメリットとしてあった。
このクラスのSUVの屋根は広大だから、ガラス部分は適当にできるので楽。