2021年8月、2代目となる現行型NSXに、集大成となるスーパースポーツモデルNSXタイプSを限定30台で国内発売すること。そして2022年12月をもって生産終了となることがアナウンスされた。
オデッセイなどの乗用車に続いて、スーパースポーツカーのNSXも生産終了となり、ホンダのBEVシフトは着実に進んでいるようだ。
そこで、今回はホンダのスーパースポーツカーの原点を言える初代NSXの最新中古車事情を紹介する。
文/萩原文博、写真/本田技研工場株式会社
【画像ギャラリー】中古車相場が値上がり中の初代NSXを画像で紹介(8枚)画像ギャラリーミッドシップスポーツカーながらトランクを確保したNSX
初代ホンダNSXは1990年9月より販売開始された。新世代のミッドシップスポーツカーとして、量産車初のオールアルミ・モノコックボディをはじめ、エンジン、シャシー、足回り、シートの構造部材に至るまでアルミ合金を多用し、車両重量1,350kg(5速MT車)という大幅な軽量化を実現し、高い走行性能を発揮する。
全長4,430mm×全幅1,810mm×全高1,170mmという初代NSXのボディサイズは、現在のスーパースポーツカーと比較するとかなりコンパクト。しかし1,170mmという全高の低さは際立っている。
初代NSXの外観デザインは、超音速ジェット機がモチーフ。キャビンをフロントに大きく前進させて レイアウトしたMR方式ならではの前進キャノピー・デザインが特徴。
さらに、高曲率大型ラウンド ガラスを採用することにより、前方視界はもとより、後方視界も含めてミッドシップスポーツカーでトップクラスの視界を確保している。
インテリアは、前進キャノピー・デザインの採用によって水平方向311.8°の全方位視界を実現。そして運転席と助手席をインストルメントパネルに続く大きなコンソールで分割することで、独立したダブルサラウンドコクピットを形成している。
NSXの特にスゴイと感じる部分はミッドシップスポーツカーながら、空力にも有効なロングテールをパッケージングに活用し、154Lというトランクスペースを確保していること。走行性能だけでなく、実用性の高さも際立っているモデルなのだ。
搭載されているエンジンは、最高出力280ps、最大トルク30.0kg-mを発生する3L V型6気筒DOHC VTEC。吸排気性に優れたボア90mm×ショートストローク78mmを採用し、センタープラグのペントルーフ形燃焼室で10.2という高圧縮比を実現したスポーツエンジンとなっている。
組み合わされるトランスミッションは、チェンジレバーのストロークを40mmと超ショート化し、手首の動きだけで素早いシフト操作が可能な5 速MTと、4速ATの2種類。電動パワーステアリングのEPSは4速AT車のみに装備された。
充分な居住スペースを確保したうえ、前後重量配分もMR方式として理想的なフロント42:リア58(1名乗車時)を実現した初代NSXは、車両本体価格5速MTが800万3000円、4速ATが860万3000円(東京地区)で販売された。
初代NSXは販売開始以降、1995年3月には一部改良を行い、ドライブ・バイ・ワイヤの搭載や、AT車にスイッチコラム横のシフトスイッチを操作するだけで、シフトチェンジが行えるFマチックの採用。同時に8.5kgのオールアルミ製脱着ルーフを採用したNSXタイプTを追加している。
1997年には初のマイナーチェンジを実施。6速化したMT車には3.2L V型6気筒エンジンを搭載。ブレーキディスクローターの16インチ化、サスペンションや電動パワーステアリングの見直しなどによりコントロール性、ブレーキ性能、ステアリングフィールを向上など行った。
さらに、エアコンなどの快適装備はそのままに、約45kgの軽量化をはじめ、専用サスペンションチューニングなどを採用し、スポーツドライビングの楽しさを際立たせたNSXタイプSを追加。そしてサーキット走行をメインとして装備を簡略化したタイプS Zeroも設定されている。
2001年には2度目のマイナーチェンジを行い、「スマート&スポーツ」をコンセプトに内外装を一新。これまでのリトラクタブルヘッドランプを廃止し、新デザインのプロジェクタータイプのディスチャージヘッドライトなどを採用し、空力性能を向上させた。
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