たびたび登場する特別仕様車なる限定車。名前から察する通り、ノーマルモデルより特別な装備や機能が付いている場合がほとんど。そして何よりお買い得!! ってのを最大の武器としているのだ。
でもコレってホントに買ってお得なのか? アルファードとCX-5を例にその真相を暴く!!
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、MAZDA、HONDA
■販売下落の起爆剤!? 特別仕様車の正体が衝撃的
クルマを買う時、車種が決まったら、次はグレードを選ぶ。グレードはエンジンや装備に基づいた選択肢で、大半の車種が複数のグレードを用意している。グレードに似た選択肢に特別仕様車もある。
「特別」という言葉からは、高性能エンジンを搭載したようなクルマを連想するが、実際には言葉通りの特別仕様車はほとんど見られない。大半が中級グレードに、オプション装備や上級グレードの装備を加えた仕様になる。そして上級装備を少し割安に装着して、買い得度を強めたタイプが多いのだ。
グレードがあるのに、わざわざ特別仕様車を別に加えるのは、その車種の売れ行きを増やしたいからだ。従ってフルモデルチェンジの直後で好調に販売されている新型車に、特別仕様車は設定しないのが通例。
発売から時間が経過して売れ行きが下がったり、ライバル車のフルモデルチェンジが近付いた時などに、買い得な特別仕様車を投入するというイメージだ。
つまり特別仕様車が設定されたら、その車種は、販売面で何らかの不安な要素を抱えていると考えて良い。何も問題なく順調に売られているなら、特別仕様車を設定する必要はないからだ。
■納車が早い場合がほとんど! 特別仕様車が得なのは装備だけじゃない
ちなみに今は、半導体から塗料まで、各種の供給が滞りやすい。そのために新車の納期が大幅に延びた。通常の納期は1か月から2か月だが、今は3か月なら短い部類に入る。6か月から1年を要する車種も多い。
そのために販売促進も控え目で、特別仕様車の投入も少ないが、以前から長く売られているタイプもある。例えば先代ヴォクシーのZS煌(きらめき)は、ほぼ1年中販売され、グレードようになっていた。このような設定が長期化している特別仕様車は、常に購入できる。ここでは特別仕様車の損得勘定を考えたい。
特別仕様車の価値を判断する時は、まず既存のグレードに加えられている特別装備の内容を確認する。特別装備が割安に装着されても、それが自分にとって不要な内容だったら選ぶ価値はないからだ。
特別仕様車に欲しい装備が加わっている時は、価格とのバランスを見る。例えば既存のグレードに20万円相当の装備が加わり、価格の上乗せが10万円であれば、10万円は割安と受け取られる。
ただし特別仕様車には、メーカーオプションと違って選択の自由がない。また「買い得」とされているから、価格が割安で当然だ。
そうなると特別仕様車の割安感は、メーカーオプション価格をベースにして、約20%は差し引く必要がある。つまり20万円相当のオプション装備を加えた場合、価格の上乗せが16万円に抑えられていて当然だ。
さらに特別仕様車であることを理由に、値引き額を減らされたりすると、割安感が薄れる。このように考えると、買い得な特別仕様車は意外に少ない。
一方、今の時代に合った特別仕様車のメリットとして、納期を短く抑えられる場合がある。特別仕様車は、価格を割安に設定して大量に売ることを目的にするから、販売会社が予めメーカーに発注して在庫車をそろえておく。在庫車なら1か月以内に納車が可能だ。
すべての特別仕様車の納期が短いわけではないが、なるべく早く納車したいユーザーは、特別仕様車を検討する方法もある。
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