「いや、セレナやステップワゴンで最高速競ってもしょうがなくない?」
タイトルをみた皆さんのこんな声が聞こえてきそうだ。たしかにある意味そのとおり。「そういうクルマじゃない」は重々承知です。でも、「動力性能としてどちらが優れているか」と考えれば、気になる人もでてくるでしょう?
今一番激戦のカテゴリー、いわゆる2LクラスBOXミニバンの動力性能はいったいどんなもんなのか?
最新モデル、しかも人気急上昇中の2台、セレナe-POWERとステップワゴンハイブリッド、そしてセレナ2Lガソリンエンジンモデル(オーテック)も加えて、その加速性能、最高速をテストで解き明かしていきます。
※本稿は2018年5月のものです
文:ベストカー編集部/写真:池之平昌信、西尾タクト
初出:『ベストカー』2018年6月10日号
■[TEST 1] セレナe-POWERとステップワゴンハイブリッド 加速性能はどっちが上!?
セレナe-POWERは直列3気筒1198ccエンジンを発電用に搭載し、実際の駆動力は136ps/32.6kgmを発揮する電気モーターが担当する「シリーズハイブリッド」。エンジン動力は駆動力にはいっさい関わらない、動力性能的にはEVと同じである。
いっぽうステップワゴンハイブリッドは145ps/17.8kgmの直列4気筒1993ccエンジンが「主に」発電を担当し、およそ100km/h以下の領域では184ps/32.1kgmの電気モーターがもっぱら駆動を担当。
だが低負荷の高速定速走行時には自動的にクラッチが繫がりエンジン動力が駆動力として使われ、高速道路の上り坂での加速時などはエンジン+モーターで走行する場面もある。シリーズハイブリッド的側面も持つ「パラレルハイブリッド」である。
2台横並びでよーいドンしたのがこの下のGIF画像。スタッフの事前予測以上にステップワゴンの出だしがよく、最初のひと転がりからセレナe-POWERを引き離す。実際にタイムを比較しても、100m、200m、300m……と両車の差はジワジワと広がっており、出だしでスッとリードしたステップワゴンハイブリッドがそのまま逃げ切るかたちに。
最高速はセレナe-POWER=157.99km/h、ステップワゴンハイブリッド=160.25km/hで、若干ステップワゴンのほうが速いもののほぼ同等ということで、セレナの巻き返しはかなわなかった。
■[TEST 2] おなじセレナのe-POWERと2Lガソリンではどっちが早い!?
これもなかなか興味深い。片や最高出力136ps、最大トルク32.6kgmのモーター、片や最高出力150ps、最大トルク20.4kgmのガソリンエンジンだ。
結果から言ってしまえば、最高速は両車ほぼ同じ。2Lガソリンエンジンを搭載するセレナオーテックで計測した最高速は156.86km/hで、先ほどのe-POWERの157.99km/hとは誤差の範囲程度の差でしかない。
これはちょっと意外だった。モーター動力のe-POWERは予測通りの結果なのだが、ガソリンエンジンモデルはもうちょっと伸びていくかと予測していたのだ。
加速性能に関しては表のとおり。
出だしの瞬間から起動トルクで有利なe-POWERがリードする展開は予測通り。ただ、モーターは高速域が苦手というのが一般的なので、100km/hを超える400m地点あたりからは差が縮まり、1000mより手前で逆転するだろう……という予測は完全に裏切られ、全域e-POWERが先行する結果となった。
コメント
コメントの使い方