登場から3年が経過した日本を代表するスポーツカー、トヨタスープラ。これまでATモデルのみのラインナップだったスープラに、ついにMTモデルが追加となった! これで日本の誇る2大スポーツ、GRスープラとフェアレディZ(日産)にMTモデルが出揃うことになる。
どちらも3Lターボに6MTを組み合わせた2シーターの本格スポーツカー。振り返ればZが日産のラインナップから外れたこともあれば、スープラが販売中止になったこともある。しかし、両雄が再び鎬を削る時が来た!!!
※本稿は2022年6月のものです
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』2022年7月26日号
■BMWにも納得できるミッションが存在せず新開発
販売から3年。スープラに6速MT車が追加される。
最初から出してくれたらよかったのに、と思っている人は少なくないだろう。
スープラの開発陣に聞いたらBMWにも納得できるミッションが存在せず、新開発したそうな。
かくして新型フェアレディZと同じ、3L、6気筒ターボの6MT車ということに!
最後のピュアエンジン車をマニュアルで楽しもうと考えている人には朗報でしょう。
組み合わされる直列6気筒は387馬力/500Nm(51.0kgm)。フェアレディZが405馬力/475Nm(48.4kgm)だから、これまた好勝負になりそう。
■直6 3Lを目覚めさせた6MT フル加速時のパワー感ときたら!
では試乗といきましょう。ドライビングシートに座りペダル操作すると、やや違和感がある。オリジナルのフロアが左ハンドル用。
AT車だと右ハンドルでも無理のないペダル位置にできたろうが、3つのペダルを配したら少しばかり窮屈になった?
絶対的なパワーは圧倒的と言える!
低い回転域から500Nmという、NAエンジンなら5リッター級に相当する太いトルクを出したままレッドゾーンまで回っていく。
フル加速時のパワー感ときたら「サイコー!」と声を出したくなるほど。
BMWエンジン特有の「ある程度の重量を持つ回転体がバランスよく回っている」的な気持ちよさを持つ。
このエンジン特性がスープラにいい影響を与えていると思う。
スープラのホイールベース2470mmは、イマドキのクルマとしては短い。タイヤ性能が低く、コーナリング速度が遅かった時代に成立した方程式です。
高性能タイヤだと過敏な挙動になってしまい、その結果、ドリフトコントロールが超シビアなフォーミュラカーのようなハンドリングを持つ。
逆に考えればフォーミュラカーのような繊細な乗り方を好む人ならツボにハマる。
とはいえ一般的な「パワーでテールをコントロールするのが高性能FR車の醍醐味」だと思っている人だと、少しばかりトリッキー。
タイムラグのあるAT車だと一段とシビアだった。今回試乗した6速マニュアル車は、何とかテールを滑らせられるコントロール性を持たせてきた。
電子制御デフの特性や、減衰力のバランスなど細かい改良も加えたのだろう。開発チームはよくここまで仕上げたと思う。
テールを流そうなどというスケベ根性さえ出さなければ、ボディの剛性感が高く乗り心地が上質。
クラッチミート感やシフトフィールなどすべて快適だ。
最後のピュアエンジン車をマニュアルで乗りたいと思っているなら新型フェアレディZとじっくり比べてほしい。
【GRスープラ8ATを100点とすると】スープラ6MTは200点
(ここまでのTEXT/国沢光宏)
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