車載カーナビは滅びるのか? スマホナビは代わりになるのか?

車載カーナビは滅びるのか? スマホナビは代わりになるのか?

 徐々にではあるがカーライフに浸透してきたクルマの「コネクテッド機能」。これを利用するための通信機能付きカーナビやDA(ディスプレイオーディオ)の装着率は向上しているが、その勢いを後押ししているのが「スマホナビ(アプリ)」だ。

 コネクテッド機能を搭載することで価格も高騰気味の車載ナビと安価で導入も簡単なスマホナビ。結局のところ、どちらが良いのか、○と×で判断してみたい。

文/高山正寛
写真/ベストカーweb編集部、トヨタ、日産、ホンダ

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■車載ナビの○(マル)と×(バツ)

新型クラウンクロスオーバーの12.3インチHDワイドディスプレイオーディオPlus(コネクテッドナビ対応)
新型クラウンクロスオーバーの12.3インチHDワイドディスプレイオーディオPlus(コネクテッドナビ対応)

 もともと車載ナビと通信の関係はかなり古い。通信を使いドライブに有益な情報を取得・活用する技術を「テレマティクス」と呼ぶが、昨今のコネクテッドカーはそれらの端末のひとつと考えて良い。

 トヨタは1998年に「MONET(モネ)」を市場に導入し、その後は日産、ホンダと各メーカーがカーナビと通信を接続させ新しいサービスを展開してきたが、黎明期とも言えるこの時期は今から考えるとまだ「よちよち歩きの赤ちゃん」状態。今のスマホの方が何十倍と取得できる情報は多い。もちろんこれがあったからこその現在ではある。

 さて、話を戻し、車載ナビの○(マル)を挙げていこう。

①専用デザインによるインテリアのマッチングの良さ。
②それによる大画面化が容易。
③インフォテインメント機能だけでなく、今後電動化が進んだ際、外部からの車両とのアクセスを可能にできる点、一例としてはクルマに乗る前にエアコンをオンにしたりドアロック忘れに対し遠隔で施錠を可能にするなど、ナビ機能単体ではなく、まさしくコネクテッドカーとしての使い方にシフトしていく。
④専用設計により耐候性に優れる。

 そして×(バツ)は、

①価格が大幅に向上する。

 前述したようにコネクテッド機能を搭載することはADAS(先進運転支援システム)との連携を含むケースも増えてきている。

プロパイロットとリンクするノートのNissan Connectナビゲーションシステム。9インチのWXGA高解像度モニターを搭載し、Apple CarPlay™ワイヤレス接続にも対応
プロパイロットとリンクするノートのNissan Connectナビゲーションシステム。9インチのWXGA高解像度モニターを搭載し、Apple CarPlay™ワイヤレス接続にも対応

 大ヒットした日産ノートの場合、プロパイロットを装着するためにはナビ連動機能を持つ「NISSANコネクトナビ」が必要。

 グレードにもよるが、概ね40万円以上が上乗せされる。簡単に言えばプロパイロットだけを単純にメーカーオプションで追加することはできないのだ。車両価格のアップだけでなく、選択の自由が妨げられるのは多少なりともストレスが溜まる。

②現在販売されている新型車の場合は当面心配はないが、テレマティクスサービス自体が終了してしまうと最先端から“普通の”カーナビになってしまう。

 これから分かるように機能やコストパフォーマンスは向上してもその価格自体が全体的に高いのが車載(特に純正)ナビの現在のポジションだ。

■スマホナビの○(マル)と×(バツ)

スマホナビと車載ナビ、どちらが便利?
スマホナビと車載ナビ、どちらが便利?

 一方のスマホナビの○(マル)は?

①導入のハードルが圧倒的に低い。

 急にカーナビが必要になっても好みのカーナビが販売店にあるという保証は無い。時に昨今の半導体不足はカーナビにも影響を及ぼしている。そしていきなりの高額出費は家計にも厳しい。

 その点、スマホナビの場合はインストールすればすぐに使える。また「Yahoo!カーナビ」のように無料で使えるアプリもある。

 またメーカー開発のナビアプリでもトヨタが開発した「movilink」がiOS、Androidともにリリースされているが、こちらもアプリ自体の料金は無料だ。つまりスマホさえ持っていれば「ゼロ円」で導入できる。このお手軽さがスマホナビの地位を大きく押し上げたと言っていいだろう。

 また通信費が気になるという声も聞くが、実際スマホナビのパケット量はかなり低い。さらに「カーナビタイム」のように事前に地図データをダウンロードしていくことでさらに通信費を抑えることもできる。つまりそれほど通信費で気にする必要はなくなってきている。

②アプリなのでアップデートが早い!

 まさにアプリならではのメリットがこれ。車載ナビに比べ、単独のアプリケーションゆえに開発スピードが早いのが特徴だ。機能アップはもちろん、バグ(不具合)の修正も全体的に早い。開発しているエンジニアは大変だろうが、IoTの世界ではスピードは特に重要。それ自体は結果としてユーザーに大きなメリットをもたらすのだ。

 ×(バツ)に関してだが、これはアプリというよりスマホ自体の問題にある。

①自車位置精度が低い

 スマホの場合、自車位置を測位する材料はGPSに代表される衛星からの電波受信が基本。専用機には車速パルスなどの信号だけでなく、精度を高めるための専用センサーなども搭載される。

 これがないスマホはビルのすき間や高速道路のアンダーパス、そして何よりもトンネル内で電波が届かなくなると精度がかなり低下する。

 一応、スマホ自体にも機種によってはジャイロセンサーなどを搭載しておりトンネル内でも自車位置を測位できるのだが、衛星受信に比べタイムラグが発生することで結果として役に立たないこともあるのだ。

②スマホ自体の耐久性

 昨今のスマホの高性能化=本体の温度上昇が問題になっている。ゲーミングスマホならば独自の冷却機構などを採用しているが、普通に販売されているスマホはそもそも車両での利用を想定していない。

 ゆえに酷暑とも言われるこの時期は特にダッシュボード近くに設置するスマホにとっては厳しい環境となる。

 アプリが優秀でも本体が設定した温度を超えれば、セーフティが働き、ディスプレイがオフになり、さらにそのまま放置すれば最悪の場合、電池パックが膨張して爆発する可能性もある。実際、先日中国で車内に放置していたスマホが爆発し、それが車両に引火、車両自体が全焼する事故も発生している。

 スマホは我々の生活とは切っても切れない関係ゆえに車両に放置することは考えにくいが、筆者のように「カーナビ専用スマホ」を使っているケースだとつい車両に放置してしまう確率も上がる。スマホは常に携帯しリスク回避することも心がけておきたい。

次ページは : ■結論 カーナビはなくなってしまうのか!?

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