車載カーナビは滅びるのか? スマホナビは代わりになるのか?

■スマホナビの○(マル)と×(バツ)

スマホナビと車載ナビ、どちらが便利?
スマホナビと車載ナビ、どちらが便利?

 一方のスマホナビの○(マル)は?

①導入のハードルが圧倒的に低い。

 急にカーナビが必要になっても好みのカーナビが販売店にあるという保証は無い。時に昨今の半導体不足はカーナビにも影響を及ぼしている。そしていきなりの高額出費は家計にも厳しい。

 その点、スマホナビの場合はインストールすればすぐに使える。また「Yahoo!カーナビ」のように無料で使えるアプリもある。

 またメーカー開発のナビアプリでもトヨタが開発した「movilink」がiOS、Androidともにリリースされているが、こちらもアプリ自体の料金は無料だ。つまりスマホさえ持っていれば「ゼロ円」で導入できる。このお手軽さがスマホナビの地位を大きく押し上げたと言っていいだろう。

 また通信費が気になるという声も聞くが、実際スマホナビのパケット量はかなり低い。さらに「カーナビタイム」のように事前に地図データをダウンロードしていくことでさらに通信費を抑えることもできる。つまりそれほど通信費で気にする必要はなくなってきている。

②アプリなのでアップデートが早い!

 まさにアプリならではのメリットがこれ。車載ナビに比べ、単独のアプリケーションゆえに開発スピードが早いのが特徴だ。機能アップはもちろん、バグ(不具合)の修正も全体的に早い。開発しているエンジニアは大変だろうが、IoTの世界ではスピードは特に重要。それ自体は結果としてユーザーに大きなメリットをもたらすのだ。

 ×(バツ)に関してだが、これはアプリというよりスマホ自体の問題にある。

①自車位置精度が低い

 スマホの場合、自車位置を測位する材料はGPSに代表される衛星からの電波受信が基本。専用機には車速パルスなどの信号だけでなく、精度を高めるための専用センサーなども搭載される。

 これがないスマホはビルのすき間や高速道路のアンダーパス、そして何よりもトンネル内で電波が届かなくなると精度がかなり低下する。

 一応、スマホ自体にも機種によってはジャイロセンサーなどを搭載しておりトンネル内でも自車位置を測位できるのだが、衛星受信に比べタイムラグが発生することで結果として役に立たないこともあるのだ。

②スマホ自体の耐久性

 昨今のスマホの高性能化=本体の温度上昇が問題になっている。ゲーミングスマホならば独自の冷却機構などを採用しているが、普通に販売されているスマホはそもそも車両での利用を想定していない。

 ゆえに酷暑とも言われるこの時期は特にダッシュボード近くに設置するスマホにとっては厳しい環境となる。

 アプリが優秀でも本体が設定した温度を超えれば、セーフティが働き、ディスプレイがオフになり、さらにそのまま放置すれば最悪の場合、電池パックが膨張して爆発する可能性もある。実際、先日中国で車内に放置していたスマホが爆発し、それが車両に引火、車両自体が全焼する事故も発生している。

 スマホは我々の生活とは切っても切れない関係ゆえに車両に放置することは考えにくいが、筆者のように「カーナビ専用スマホ」を使っているケースだとつい車両に放置してしまう確率も上がる。スマホは常に携帯しリスク回避することも心がけておきたい。

■結論 カーナビはなくなってしまうのか!?

ナビタイムジャパンがEV専用カーナビアプリ「EVカーナビ by NAVITIME」を7月末から提供を開始(2022年8末まで無料、以降有償予定)
ナビタイムジャパンがEV専用カーナビアプリ「EVカーナビ by NAVITIME」を7月末から提供を開始(2022年8末まで無料、以降有償予定)

 車載カーナビは専用品としての強みがある。特に今後電動化が促進された場合、充電スポットの検索や航続可能距離などは車両ECUからの情報が重要となってくる。その部分では車載カーナビのニーズは十分に考えられる。

 では安泰か? と聞かれると実の所、気は抜けない。前述した電動車両、特にEVの航続可能距離を含め、すでにナビタイムジャパンがEV専用カーナビアプリ「EVカーナビ by NAVITIME」を7月末から提供を開始している(2022年8末まで無料、以降有償予定)。

 つまり言いたいことはスマホナビの開発力とスピードを侮ってはいけない、ということ。

 車載カーナビも単体としての商売ではなく、エンターテインメントや乗員の安全を守るなどの機能を融合させていくことでその存在感を高めていくはずだ。

 自動車業界では今後5G通信が積極的に採用されることで自動運転領域やインフォテインメントの活用は大きく高まるはずだ。

 補足すると、すでにNTTドコモは次期「6G通信」の開発も始めている。6Gはまだ先のこととはいえ、高速通信を車両で活用するためのコネクテッドカーの操作系としての端末として車載機器(カーナビ機能)として生き残っていくだろう。

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